「LEGO MINDSTORMS NXT」を例に、ファームウェアのアップグレード方法、PCとの接続確認までの流れを紹介する
第1回目で、マイクロソフト「Robotics Studio 1.0(以下、MSRS)」の概要と各ツールの紹介をしました。「これは面白そうだ」と興味を持たれた方もいるのではないでしょうか? しかし、MSRSを使った本格的なロボット開発は、プラモデルのようにただ組み立てるだけとは訳が違います。ロボットをPCに接続して動かすとなると、その道程は必ずしも平坦ではありません。また、ある程度の費用も掛かります。ですから「面白そうだからすぐにやってみよう!」というわけにもなかなかいかないでしょう。
そこで、今回は筆者自らが実際にロボットを選定&購入して、ロボットとPCを接続するまでの模様を紹介します。ロボット開発の世界に足を踏み入れる前に一読していただければと思います。
関連リンク: | |
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⇒ | Microsoft Robotics Studio |
まず、ロボットを入手する必要があります。これがなくては何も始まりません。ロボットの選定は一番ワクワクするところでもあり、慎重に選ばなければならないところでもあります。
それでは、筆者がどのように(どのような基準で)ロボットを選定したのかを紹介します。
最近では、ホビー用のロボットが入手しやすくなっているので「すでにロボットを持っている!」という方もいると思います。そのような方は、ご自身のロボットがMSRSに対応しているか調べてみてください。
筆者の場合は、日本大学で設計&製作した4輪駆動の移動ロボット(ウインドリバーのユニバーシティプログラムに採用)が研究室にあります。しかし、現状MSRSに接続して動かすことはできません(MSRSに対応させるために必要なプログラムを開発中です)。ロボットを所有していてもMSRSに対応していなければ(本連載においては)意味がありません。
筆者が調べたところ、MSRSにはあらかじめ5社のロボットに対応したサンプルプログラム(サービス)が提供されています。やはり、サンプルプログラムが提供されているロボットから選定した方がこれから学習するうえで何かと都合がよいと思います。
以下は、サンプルプログラムが提供されているロボットの一覧です(表1)。
メーカー | 型番 | 価格 | |
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LEGO | MINDSTORMS NXT | 約4万円 | |
近藤科学 | KHR-1 | 約13万円 | |
iRobot | Roomba | 約6〜10万円(3機種あり) | |
fischertechnik | ROBO MOBILE SET | 約4万円 | |
Parallax | Boe-Bot | 約4万円 | |
表1 Robotics Studio 1.0にサンプルが添付されているロボット |
表1にリストアップしたロボットはすべてMSRSに対応しており、新たにプログラムなどを追加せずに実機を動かすことができます。下準備や作業効率の面でも表1にあるMSRSに対応したロボットから選択した方がよいでしょう。
この中から筆者は、「値段が手ごろ」「日本語の取扱説明書が添付されている」点を重視してLEGOの「MINDSTORMS NXT(以下、NXT)」を購入しました(注)。
ちなみに、国内メーカーとして唯一挙がっている近藤科学の「KHR-1」ですが、価格面で断念しました。また、そのほかの海外メーカー製ロボットは、輸入の手間などを考え見送ることにしました(LEGOのNXTは、国内でも手に入れやすい)。
NXTの外装パーツのほとんどは、LEGOブロックなのでユーザーは工具なしで(ペンチなどを使わなくてもよいという意味)自由に組み立てることができます(LEGOブロックで遊んだことのある方なら想像できると思います)。こういった自由度の高さもLEGOの特長です。
以下は、筆者が組み立てた移動ロボットの写真です。
画像1をよく見るとロボットの中央に「液晶の付いた箱状の物体」があります。この箱を「ブリック(brick)」といいます。この中にはARM7 32bitCPU、メモリ、周辺回路(モーターのアンプ、センサー信号のAD変換回路)などが搭載されています(注)。これがまさにNXTの頭脳に当たる部分です。
また、ブリックのROMにはPCでいうBIOSに当たるプログラムが書き込まれています。このプログラムを「ファームウェア」といいます。ロボットの電源をオンにするとファームウェアが走り、回路の初期化や通信の準備などを行います。
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