T-EngineフォーラムのブースにはMP T-Kernel、T-Kernel、μT-Kernelに対応した評価ボードがずらりと並べられていた。
同ブースでは、3プロセッサ環境と1プロセッサ環境で動画を再生し、処理速度を比較するデモを実施していた。使用された評価ボードは、非対称型マルチコア・プロセッサ対応のAMP T-Kernelを実装した「μT-Engine/MP211(NECエレクトロニクス製)」。同評価ボードは、3つのCPUコア(ARM926、最大動作周波数192MHz)とDSPを1チップ化した非対称型マルチコア・プロセッサ「MP211」を搭載している。RAMは128Mbytes、フラッシュROMは16Mbytesで、周辺機能にはLCDインターフェイスとオーディオ入出力、MMCカードインターフェイスなどを備えている。
また、4つのCPUコア(ARM11)を1チップ化したマルチコア・プロセッサMPCore(アーム製)を搭載したT-Engine評価ボードによる動画再生デモを行っていた。OSは、開発中の対称型マルチコア・プロセッサSMP T-Kernelを使用していた。
さらに、T-Kernel採用製品の展示も行っていた。
デンソーはT-Kernelを採用したワンセグ内蔵カーナビを開発。富士通テンが「ECLIPSE AVN7406HD」としてOEM販売している。同製品の開発には、イーソルの「eT-Kernel/Extended」と開発環境「eBinder」が採用されている。T-Kernelを採用したポイントは、μITRONで培ったソフトウェア資源を有効活用できる点だという。
また、音響機器メーカーであるフォステクス カンパニーのデジタル・マルチトラッカー「MR-8HD」にもイーソルの「eT-Kernel」と開発環境「eBinder」が採用されている。同製品は、40Gbytesの3.5インチハードディスクを搭載し、最大4トラックの同時記録と最大8トラックの同時再生が可能。非圧縮44.1kHz/16bitsでの記録、AD/DAとして24bitチップを採用している。
NECソフトは、FTPやTelnetなど、UNIXやLinuxで活用されているオープンソースソフトウェアをT-Kernelに移植するために、POSIX準拠のライブラリ(pthread、pipe、signalなど)を実装した。これにより、T-Kernelのリアルタイム性を保ちながらLinuxなどで実績のあるソフトウェアを使用できるという。また、Linux固有機能(ユーザー管理など)のラッピング関数についても整備を進めているとのこと。
パーソナルメディアは、2006年11月15日に発表した「PMC T-Kernel/x86」を展示。同製品は、x86アーキテクチャにT-Kernelを移植したものである。インテル製CPUへの対応により、多種多様なPC/AT互換機でT-Kernelが利用可能になるという。すでに日本無線の「業務用組み込みコンピュータIPS-800」に採用されている。また、デバイスドライバやミドルウェア、開発環境をセットにした開発キットを2007年第1四半期に発売予定。価格は10万円前後。
NECエレクトロニクスは、シマフジ電機の「SEMB1200A」対応のT-Kernelを参考出展した。同製品は最大動作周波数600MHz、1200MIPSのマイクロコントローラ「UX1200E(NECエレクトロニクスとシマフジ電機の共同開発)」と32チャンネルのPWM(Pulse Wide Modulation:パルス幅変調)インターフェイスを搭載しており、ロボット制御分野での活用が見込まれている。同ブースではリモコン、ジャイロセンサによるモーター制御のデモを行っていた。
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