DB2 Everyplaceを利用したアプリケーション開発は、業界標準のツールとAPIによって行う。具体的にデータベースに接続する方法としてCLI、ODBC、JDBC、ADO.NET。プロトコルとしてTCP/IPとHTTPまたはHTTPS(Webアプリケーション形式)。データベースにアクセスする手段としてSQL。言語としてJavaやC/C++、Microsoft Visual Basicなどが利用可能である。開発ツールはOS/プラットフォームによって異なり、表3のものが使用可能である(2006年9月現在:対応する開発環境は今後追加・変更される可能性もある。後述のWebサイトを参照)。
最新バージョンのV9.1では、JDBC 3.0 Savepointのサポート、Microsoft .NET Compact Framework 2.0のサポートといった拡張が施されている。
関連リンク: | |
---|---|
⇒ | DB2 Everyplaceの開発環境(英語サイト) |
DB2 Everyplaceの最新バージョンV9.1でサポートされるモバイル/組み込みソフトウェア環境は、次のとおり(2006年9月現在:対応する実行環境は今後追加・変更される可能性もある。後述のWebサイトを参照)。
また、サポートされる同期サーバ環境は、
となっている。
関連リンク: | |
---|---|
⇒ | DB2 Everyplaceのシステム要件の詳細(英語サイト) |
現在サポートされていないOS、ハードウェアについてはIBMに対してカスタマイズを依頼する形になるが、猿山氏によれば「カスタマイズの要望には柔軟に対応する姿勢でいます。DB2 Everyplaceの開発元とは密接な関係を構築しており、ユーザーからの要望には迅速に対応するよう最善を尽くします」ということだ。
従来、組み込み機器用に開発されたデータベースは、限られたハードウェアリソースの中で、どれだけ効率的にデータを管理するかに重点が置かれてきた。そういった組み込みデータベース製品に比べ、DB2 Everyplaceはかなり重量級の製品に感じられる。このような特徴を持つデータベースは、どのような場面で活用すればよいのか。DB2 Everyplaceの活用事例を見てみよう。
カラオケ端末「キョクNAVI」はDB2 Everyplaceを組み込んだ楽曲検索用の情報端末だ。端末本体には常時数万曲の楽曲データを保存し、頻繁に更新される楽曲データと同期させる必要があった(図3)。
また、カラオケボックスを訪れるエンドユーザーに多彩な検索機能を提供するため、人気歌手別にアルバムやシングルをジャケット写真付きで閲覧できる「アルバム・シングル検索」、曲名を入力すると1文字ごとに最もリクエストの多い曲を先に表示する「ベストヒット検索」など、9種類もの検索方法がWindows CE上のGUIに実装されている。
このキョクNAVIやカーナビのように、多機能でリッチなGUIを搭載した情報端末のニーズは今後さらに増えてくるだろう。そこではハードウェアリソースをギリギリまで削減していくという従来型の組み込みデバイスとは違って、ユーザーの満足度を高めるためなら必要なリソースは搭載するという選択がなされる。こういった条件の下では、DB2 Everyplaceの多機能な特性を生かせるだろう。
1984年、東京電子専門学校卒業。学生時代から電子工作を趣味として、小学生時代にはアマチュア無線の免許を取得。卒業後、電子機器の設計/開発に従事、産業用の電子回路設計、組み込みのソフトウェア、アナログ(主にOPアンプ関連)、ディジタル(マイコン、PLD)や携帯電話向けセルベースICの開発など、20年の幅広い設計経験を持つ。 2005年からフリーライターとして電子部品の広告、専門書、雑誌の執筆をしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.