組み込みデータベースカタログ第2回は、アイエニウェア・ソリューションズ(以下アイエニウェア)のUltra Lightを取り上げる。お話を伺ったのは、同社エンジニアリング統括部 システムエンジニアチーム シニアコンサルタントの森脇大悟氏である。
Ultra Light自体の説明に入る前に、まずUltra Lightが含まれている「SQL Anywhere Studio」の歴史を振り返ってみよう。
SQL Anywhere Studioのメインコンポーネントである「Adaptive Server Anywhere」(以下ASA)は、コンパイラ(Watcom C/C++)で有名なWATCOMが開発した「Watcom SQL」というデータベースにさかのぼることができる。その後、WATCOMが米Powersoftに買収され(1994年)、さらに1995年にはPowersoftが米Sybaseに買収されたことにより、Watcom SQL改め「SQL Anywhere」はSybaseの製品としてラインアップされることになる。旧WATCOMの開発部隊の大半はSybaseのMEC(Mobile and Embedded Computing)事業部として集結し、SQL Anywhereシリーズを送り出すことになった。2000年には、このMEC事業部がそのままiAnywhere Solutionsとして独立する。
現在、アイエニウェアはASAを中心とした「SQL Anywhere Studio」に加え、「RFID Anywhere」「Answers Anywhere」「M-Business Anywhere」など多くの製品を展開しているが、中核となるのは携帯機器とセンターを結び付けるソリューションである。社名のi“Anywhere”が物語るように、「会社のコンセプトは、データセンターにあるデータをビジネスの現場で使えるようにするためのソリューションを提供することです。“Unwired”といういい方もしますが、そうしたインフラを提供するのが目的です」(森脇氏)というコンセプトに基づいた製品を提供している。
今回紹介する「Ultra Light」も、このコンセプトに基づいている。製品としてアイエニウェアから提供されるのはSQL Anywhere Studioという統合パッケージであり、現在のところはUltra Light単体で提供されているわけではない。
SQL Anywhere Studioには、
という2種類のデータベースおよびMobile Linkという同期ツールなどが含まれている。
システムの中核となるASA自体もかなり組み込み用途を意識した製品であり、同社サイトの「対応OS一覧」によるとWindows CE 3.0/4.1/4.2/5.0やWindows XP Embedded、各種Linuxをサポートしている。ASAが必要とするメモリ量は4Mbytesで「抜群に小さい」とはいえないものの、構成次第では組み込み用途での利用も十分可能だ。これに対し、Ultra Lightはより制約の厳しい環境を狙った製品で、同社はこれを「組み込み向けデータベース」と明確に位置付けている。データベースが利用するメモリはわずか150kbytes。機能的にはASAには及ばないものの、多くの点で共通の機能を持つ。
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