今回の国内物流革新プロジェクトの仕掛け人として、一連の改革をけん引してきた安藤氏に話を聞いた。
MONOist 物流改革を推し進める原動力は、どのような経験から来ているのでしょうか。
安藤氏 私は1987年に松下電器貿易(1988年に当時の松下電器産業と対等合併)に入社して以来、オランダやイギリス、中国など、海外のサプライチェーン領域に長く携わってきました。欧州では1990年代後半ごろから自動倉庫やWMS(倉庫管理システム)といった最先端の仕組みが導入されていましたし、中国ではすさまじいスピードで自動化が進む様子を目の当たりにしてきました。
しかし、2014年に帰国して初めて日本の国内物流を見た際、海外の進化のスピード感に対して大きなギャップを感じたのです。ただ同時に、その現場を見た私は「これは宝の山だ。国内物流はまだまだ変えられる余地がある」と強く感じました。
その思いが出発点となり、国内の物流業務を標準化して、パナソニックの歴史上初めてにして最大規模となる、グループ統合物流インフラの構築を目指すプロジェクトへとつながっています。
MONOist 今回の関西第一拠点プロジェクトにおいて、最も苦労されたのはどのような点でしょうか。
安藤氏 新しい設備の導入といったハード面以上に一番大変だったのは、皆がワンチームになるためのプロセス、すなわち「異文化の統合」です。これまで物流を担当するメンバーは各BU(ビジネスユニット)に分散しており、考え方や文化、仕事の進め方がそれぞれ全く異なっていました。
パナソニックグループとしてこれを1つのチームするために、顧客である全国の販売店をはじめ、各事業会社のマーケティング部門や営業担当者にも丁寧に説明して回りました。このベクトル合わせには、約2年の歳月を要しています。
物流は決して止めてはならない事業インフラです。日々のオペレーションを維持したまま、並行して巨大な新拠点をトラブルなく立ち上げることは、極めて難易度の高いミッションでした。
困難の連続ではありましたが、今振り返ると「楽しかった」と率直に感じます。各事業会社の方々がPEXの取り組みの意義を理解し、協調してくれたことは非常に大きな喜びであり、パナソニックの一員として真のワンチームになれたと実感しています。
MONOist 首都圏再編などを見据えた今後の展望をお聞かせください。
安藤氏 新しい拠点を立ち上げ、システムを入れたらそれで終わりではありません。稼働した現場でも日々の業務の中で気付きを共有し、毎朝ベクトルを合わせる改善活動を徹底して続けることが何より重要です。
今回の関西における成功体験を生かし、次の首都圏エリアでも物流インフラを止めることなく再編を推し進めていきます。先ほども申し上げた通り、日本の物流網はまだまだ変えられる「宝の山」です。今回の成功体験を足掛かりとし、習慣や既成概念を変えていくという強い意志を持って、パナソニックの物流、そして日本の物流を進化させ続けていきたいと考えています。
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