単に拠点を統合しただけでない。パナソニックグループが抱える物流課題を事業横断で解決することで、顧客視点での提供価値も変化している。商材を横断し行き先別で集約することで各事業部の荷物が1台のトラックにまとまるようになり、納品先における荷受けの手間を削減できた。
加えて、車両にトラック動態管理システムも導入した。パナソニック側/顧客側双方で正確な到着時間を可視化できるようになり、遅延などのイレギュラー発生時にも先回りして連絡できる体制を整え、待ち時間によるストレスを解消している。
「電材代理店向けの配送網では、ビジネスルールそのものを見直し、まず受注締め切り時間を1時間短縮した。さらに、ドライバーの働き方改革観点から、夜間の不在置きを完全に撤廃し、トラックドライバーによるフォークリフトの操作も廃止した。こうしたルールの変革と配送網の統合により、トラックへの積載率は2割向上した他、定期車両数を10%削減し、配送ルートの10%削減にもつなげている」(安藤氏)
前編で紹介したGTPシャトルや移動棚による保管効率の最大化、パレットの標準化、デジタル端末を活用したシステム統一による現場力強化が相乗効果を生み、拠点内の保管効率は従来比で27%向上し、作業生産性も26%向上した。
これら拠点内のデジタル化/自動化と、輸配送の最適化を両輪で進めた結果、一連の関西拠点集約プロジェクト全体で年間10億円以上の合理化を実現した。
2026年9月には、既存のA棟に隣接する形で「京田辺B棟」が新たに本格稼働を開始した。倉庫面積6145坪、取扱品番4000のB棟の稼働により、工場向けの基幹部品と、工場からの完成製品を往復させる「ラウンド輸送」が可能となった。さらなる輸送効率の向上と倉庫費用の削減、そして拠点全体のオペレーションの高位平準化を推し進める構えだ。
パナソニックグループは、2020年に発足した「国内物流革新プロジェクト」の下、全国6地域で在庫拠点の集約を進めている。今回の関西エリアでの成功を足掛かりに、2026年6月には関東の輸配送網を根本から再構築する「首都圏プロジェクト」を始動した。2029年3月までに自社倉庫の活用率を100%に引き上げ、配送ネットワークを再設計して実車率や定時配送の向上を目指す。
具体的には、首都圏エリアの拠点を商品特性に応じて再定義する。厚木拠点(神奈川県厚木市)はコンセントなどを扱う「小物商品コア拠点」、石岡拠点(茨城県石岡市)は長尺物などを収容する「大型商品コア拠点」、川口拠点(埼玉県川口市)はアクセスの良さを生かした「中継コア拠点」と位置付ける。また、これまで拠点から個別に配送して動線が重なっていたため、新たに「埼玉デポ」「千葉デポ」といった中継拠点を設ける。コア拠点からデポへ幹線輸送し、そこからエリアごとに配送することで、関東全域のネットワークを効率化していく。
「物理的な拠点の集約や輸配送網の再編と並行して、物流革新における最大の障壁となるのが、“情報の統合”だ」と安藤氏は指摘する。
グループ内では事業会社ごとに異なる受発注システムが稼働しており、データ連携や標準化の障壁となっていた。この課題を解決するため、システムの違いを吸収してつなぐバッファーリング層「LMS(Logistics Management Systems)」を新たに構築し、基盤を問わず標準化された物流業務を提供できる仕組みを整える。
2027年度下期から展開を始め、既存のホストコンピュータが終了する2030年度には完全移行を完了する予定だ。物流拠点網というハードと、IT基盤というソフトを統合することで、強固な国内物流プラットフォームの完成を見据える。
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