筆者は、3D CADの教育に関わる中で、以前から気になっていることがあります。それは、いつの間にか「CADを操作すること」が目的になってしまうことです。例えば、操作の習得目標として、次のようなものが挙げられます。
こうした操作技術は、もちろん必要です。しかし、設計者にとってCADはあくまでも道具です。どれだけ多くのコマンドを知っていても、「なぜこの形なのか」を説明できなければ、機械設計としては十分ではありません。
一方、シンプルな形状であっても、その寸法や構造について、例えば次のように説明できるのであれば、そこには設計者の考えがあります。
筆者は、コマンドを数多く使えることよりも、こうした設計の理由を説明できることの方がずっと重要だと思っています。
3D CADを使えば、頭の中で考えていたものを形にできます。そして形にすることで、それまで見えていなかった問題が見えてくるのです。例えば、部品を組み合わせた状態では、次のような問題に気付くことがあります。
また、強度や変形について検討すれば、次のような問題が見つかるかもしれません。
そうした問題が見つかったら、もう一度考えればいいのです。設計は、一度で正解を出す仕事ではありません。
考える ⇒ 形にする ⇒ 確認する ⇒ また考える
この繰り返しによって、設計は少しずつ良くなっていきます。だから筆者は、3D CADを「立体を作るためのソフト」ではなく、「設計者が考えるための道具」として捉えてほしいと思っています。3D CADを使えることと、3D CADで設計できること――。この2つは、似ているようで少し違うのです。
では、3D CADを使って「設計する」とは、具体的にどういうことなのでしょうか。次回は、もう一歩踏み込んで、「設計意図を3Dモデルに組み込む」ということについて考えてみましょう。お楽しみに! (次回へ続く)
土橋美博(どばし よしひろ)
DOBASHI DESIGN LAB 代表/Founder&Principal
半導体組み立て関連装置メーカー、液晶パネル製造関連装置メーカー、製品設計会社を経て独立し、開発/設計/製造DXを現場経験で支援するDOBASHI DESIGN LABを創立。
ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)、ワールドワイドのソリッドワークス・ユーザーグループネットワーク(SWUGN)のリーダーも務める。
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