ただし、部品を画面上に並べるだけでは、機械の仕組みを理解したことにはなりません。機械設計を始めたばかりのころは、どうしても次のように、一つ一つの部品の作り方に目が向きます。
もちろん、それも重要です。しかし、機械は部品1つでは動きません。先ほどの直動機構なら、モーターの回転がカップリングを通じてボールねじに伝わります。ボールねじの軸が回転すると、軸と組み合わされたナットが直線方向に移動します。その動きを利用して上部プレートを動かし、ガイドが移動方向を規制します。
このように、それぞれの部品には役割があり、部品同士も関係し合っています。一つ一つの部品を正しく作ったとしても、それらの関係が適切でなければ、機械としては成立しません。筆者は若手エンジニアの皆さんに、3D CADを使うときこそ、部品だけを見ないでほしいと思っています。3Dモデルを見ながら、次のように問い掛けてみてください。
そんなことを考えながら3Dモデルを見ると、単なる立体モデルだったものが、少しずつ「機械」に見えてきます。
部品同士の関係が見えてくると、今度は一つ一つの寸法にも目が向きます。「なぜ、この寸法なのか」は、筆者が設計で大切にしている問いの一つです。
3D CADでは、寸法を簡単に変更できます。100mmを120mmにすることも、板厚10mmを15mmにすることも、数字を書き換えれば可能です。だからこそ注意が必要になります。簡単に変更できることと、変更してよいことは同じではありません。
例えば、軸径を20mmとしたとき、「何となく20mmにした」では設計になりません。軸径を決める際には、次のような点を確認します。
必要な条件を確認し、それらを踏まえて寸法を選びます。穴径も、板厚も、ボルトサイズも同じです。設計された寸法には、設計者の判断が入っています。だから筆者は、3D CADでモデリングするときにも、「なぜ?」と考えてほしいのです。
寸法や部品の配置を決めた後も、確かめるべきことがあります。3Dモデルをきれいに作ると、それだけで設計が完成したように感じてしまうかもしれません。しかし、3Dモデルは単なる「立体の絵」ではないのです。
形状に加えて材質を設定すれば、その材質の密度を基に質量を計算できます。部品を組み合わせれば、互いに重なっていないかを調べられます。部品の動きを設定すれば、移動できる距離や可動範囲の確認も可能です。
さらにCAEを利用すれば、荷重を加えたときの応力や変形について検討できます。ただし、そのためには荷重の大きさや加わる場所、部品の固定方法なども適切に設定しなければなりません。3Dモデルがあるだけで、強度の良しあしまで自動的に分かるわけではないのです。
こうして3Dモデルを利用すると、「作った形が本当に成立するのか」を確認する手掛かりが得られます。問題が見つかれば、設計を変更して再び確かめる――。3D CADは、冒頭で述べたサイクル(考える ⇒ 形にする ⇒ 確認する ⇒ また考える)を回すための非常に有効な道具なのです。
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