MONOist AIを使う機会が増える中で、デザイナーに求められる能力はどう変わると考えていますか。
赤城氏 今回、AIの可能性の大きさと同時に、使いこなす難しさも痛感しました。
デザイナー自身にG-SHOCKのデザイン経験やブランドへの理解、造形のスキルがなければ、AIに振り回されてしまいます。AIは指示すれば、いくらでもアイデアを広げてくれますが、その中から「G-SHOCKにふさわしいものはどれか」「商品化につなげられるものはどれか」を判断して整えられなければ、いつまでも製品にはなりません。単なる奇抜なイメージだけで終わってしまいます。
方向性を決め、判断するところは、人間が担う必要があります。明確に指示し、出てきたものを自分の手でどうブラッシュアップするかが重要です。そのためには、むしろデザイナー側のスキルを今まで以上に高めなければならないと感じています。
今回の使い方は、過去のノウハウを全てAIに学習させ、G-SHOCKのデザインを自動的に出すというものではありません。ブランドの“らしさ”や、お客さまが求める世界観といった感覚的な部分は、言語化したり、自動化したりするのが非常に難しいものです。
だからこそ、そうした感覚をデザイナー自身が持っていないと、どのメーカーでも作れるような、個性のない製品になってしまいます。過去の経験や、自分の手で線を引く力は、これからも欠かせません。
AIが広げたアイデアから可能性を見いだし、G-SHOCKらしい製品へと仕上げるには、デザイナー自身の判断が必要です。AIを活用していくからこそ、人間側も経験を積み、造形のスキルや判断力を磨き続ける必要があると感じています。
MONOist 今後、AIとどのように付き合いながら、G-SHOCKのデザインを進化させていきたいですか。
赤城氏 AIについては、適材適所で活用していく考えです。G-SHOCKの全てのモデルにAIを使うという方針ではなく、開発テーマや課題に対して、AIが最適だと判断した場合に積極的に採用するという考え方です。
会社全体としては、デザイン部門に限らず、さまざまな業務でAIを効率的、効果的に活用していく流れがあります。カシオ社内でもAIを使うことへの抵抗感はなく、日常的に活用されています。
その中で、私たち時計のデザイナーが大切にしているのは、「ユニークであること」です。G-SHOCKを開発する人間として、自分自身もユニークであり、新しい価値を生み出したいという思いがあります。
われわれが目指すのは、お客さまに驚きや感動を届けることです。製品を手にしたときに「カシオはこんなすごいものを作ったのか!」「何これ、かっこいい!!」と、驚きと同時に喜びを感じてもらえるようなブランドであり続けたいと願っています。
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