恐るるに足らず? 中国フィジカルAI主要15社と5大集積地で見る「点と線と面」FAイベントレポート(3/3 ページ)

» 2026年09月18日 08時00分 公開
[長島清香MONOist]
前のページへ 1|2|3       

中国フィジカルAIの理解に欠かせない、「線」と「面」の視点

 須毛原氏は、これらの個別企業という「点」を、大学ネットワークという「線」でつなぎ、さらに地域クラスターという「面」で捉える視点を示した。

 先に紹介した企業をそのルーツから見ると、大学や人材の系譜が浮かび上がる。例えば北京では、Galbot、Robot Era、Galaxea AIはいずれも清華大学とのつながりを持つ。一方、杭州では、DEEP Roboticsが浙江大学、Westlake Roboticsが西湖大学を起点としている。

中国フィジカルAIを支える大学ネットワーク 中国フィジカルAIを支える大学ネットワーク[クリックで拡大]出所:SUGENA

 さらに、フィジカルAI関連企業は北京、上海、蘇州、杭州、深センの5地域に集積しており、それぞれ異なる役割を担っているという。

 須毛原氏は、北京を清華大学や北京大学、中国科学院などが集まる「学術の首都」上海を外資やVCが集まる「国際の窓口」蘇州を精密製造/部品企業が集まる「精密部品の拠点」、杭州をスタートアップが育つ「起業のエンジン」、深センをEV工場などへの実装やハードウェア生産を支える「量産の拠点」と整理した。

中国フィジカルAIの5大クラスター 中国フィジカルAIの5大クラスター[クリックで拡大]出所:SUGENA

 中でも、須毛原氏が注目するのが杭州だ。浙江大学や西湖大学といった学術基盤に加え、Alibabaを中心としたエコシステムがあり、出資などを通じてスタートアップを支える環境も形成されている。

 実際、UnitreeやDEEP Robotics、Westlake Roboticsなど、フィジカルAIの有力企業が杭州に集積している。須毛原氏は、こうした大学、企業、資本が結び付く環境を踏まえ、杭州について「中国のフィジカルAIの聖地と言っていいのではないか」と評した。

中国フィジカルAIの強さを正しく捉え、現実を知る

 セミナーの後半で須毛原氏は、中国の強みを踏まえつつ、日本企業がどこで価値を出せるのかという方向性も示した。中国側の部品やサプライチェーンを活用しながら、「大脳」に当たるAIやデータ、セキュリティなどを日本側で担うという考え方だ。

中国フィジカルAIの強みと、日本企業の勝ち筋 中国フィジカルAIの強みと、日本企業の勝ち筋[クリックで拡大]出所:SUGENA

 日本企業の勝ち筋については、セミナー最後のQ&Aでも議論された。

 「大脳」で勝負する一方、ハードウェアを諦めてよいのかという質問に対し、須毛原氏は、ハードウェアを諦める必要はなく、「組み合わせ」が重要だと回答した。中国で生まれた性能の高い部品などを、経済安全保障に配慮しながら活用し、日本側の技術などと組み合わせていく方向性を示し、「日本が勝てる可能性はまだまだ大きい」と述べた。

 須毛原氏が強調したのは、「現実を知る」ということだ。中国のフィジカルAIを巡る報道では、その進展を伝えながらも、実用性への疑問などに焦点が当たるケースも見られるという。一方で、須毛原氏は今回の中国訪問で300体近くのロボットを目にし、世界中から集まった人々の表情や発言にも接したことから、日本企業も中国フィジカルAIの現状を実際に見て、感じるべきだと痛感したという。

 こうした実体験を踏まえ、須毛原氏は目を引くニュースや断片的な情報にとらわれず、中国フィジカルAIの現状を正しく捉えるためにも、「現実を知る」ことが重要だとした。

⇒その他の「FAイベントレポート」の記事はこちら

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR