中国勢、とりわけXpengがLBMへと舵を切った背景には、従来の自動運転アーキテクチャでは突破できない技術的制約が存在したようだ。以下では、LBMの利点と課題を整理した上で、中国の新興自動車メーカーがそれでもなおLBMを推進する理由を考えてみたい。
LBMは、視覚情報を行動へ変換するE2E的要素を内包しつつ、その背後に「未来状態の予測(技術:世界モデル)」「環境変化の推論(技術:身体性モデル)」「行動選択の最適化(技術:行動推論)」といった高度なモデル化能力を統合することが可能となった。
手書きルールではなく、膨大な運転データから学習するため、人間の運転行動に近い自然な挙動を獲得できる。特に中国の都市部のような複雑環境では、データ量が性能を決定する。
LBMはロボティクスの行動を生成するためのAIモデルとして発展してきたため、自動運転、ヒューマノイドなどとAI基盤を共有できる。ロボティクス化を進める企業にとっては整合的。
E2EやLBMはブラックボックス性が高く、「なぜその行動を選択したのか」を説明しにくい。自動運転では安全性/法規制の観点から、説明責任が伴う。
LBMは膨大な状態空間を扱うため、従来のテスト手法では網羅できない。特にまれな危険シナリオに対する安全性検証が難しい。
複雑なモデルを扱うことから、開発コストが高くなる。
上記のような課題があるにもかかわらず、なぜ中国新興自動車メーカーはLBMを推進しようとするのであろうか。幾つかの理由があると推察する。
中国の都市部では、歩行者/自転車/電動バイクの密度が高い地域が多い。また、車線や標識が不明瞭な場所が多いことから、自動運転に関して最も難しい環境への対応が求められた。
Xpengは2024年からVLAの採用を進めたが、自動運転に関して、VLAだけでは未来予測/環境変化の推論などが不十分と考えた。
Xpengはロボティクス分野にも進出しており、自動車とロボットのAIを統合する戦略的価値が大きいと判断した。
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