東京農工大学は、次世代高速通信での利用が期待されるテラヘルツ波を狙った方向へ放射できる、51μmの薄型レンズを開発した。電波を拡散せず、目的方向に平面波として届ける指向性は、最大3.1倍に向上した。
東京農工大学は2026年8月18日、次世代高速通信での利用が期待されるテラヘルツ波を狙った方向へ放射できる、51μmの薄型レンズを開発したと発表した。小型のテラヘルツ発振器の実用化を進める基盤技術で、6Gや7G通信、センサー機器、イメージングなどへの応用が期待される。
研究では、薄い平面上に微細な金属構造を並べ、電波の進み方を制御するメタサーフェス技術を活用し、厚さ51μmのGRIN無偏光コリメーティングメタレンズを開発。GRINは、レンズの場所によって屈折率を変えられる構造で、今回は外側から中心に向かって屈折率が高くなるように設計した。
開発したレンズは、中心部では0.312テラヘルツで屈折率 6.2、反射率1.1%、透過率94.3%を達成。このレンズを共鳴トンネルダイオード(RTD)の前方10mmの位置に配置し、放射されるテラヘルツ波の向きを測定したところ、正面方向にテラヘルツ波が進み、ビームの広がりを抑制していることを確認した。電波を拡散せず、目的方向に平面波として届ける指向性は4.9dBに向上した。
レンズを90度回転させても、同様の効果が得られた。これは、テラヘルツ波の振動する向き(偏光方向)に左右されにくいことを示している。偏光方向に依存せず、上下左右の位置合わせだけで機能するため、装置の組み込み時の調整を簡単にできる。
テラヘルツ波は、5G通信で使用されるミリ波より高い周波数で、次世代通信での利用が期待されている。一方で、小型のテラヘルツ発振器から出る電波は広がりやすく、遠くへ届けるのが難しいという課題があった。
今回、薄い平面型レンズを適用した小型テラヘルツ発振器で鋭い指向性が得られることを実証したことで、従来の厚みのあるレンズでは困難だった小型化、集積化が可能になる。今後は、各種の連続発振テラヘルツ光源への搭載や、より高指向性なアンテナ、光渦生成素子、Airyビーム生成素子などの平面型光学素子への展開が期待される。
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