今回は、晶析の原理になる溶解度と過飽和の考え方、結晶ができる仕組み、晶析方式の分類について解説します。
化学プラントの製品には、粉や粒の形で出荷される固体が数多くあります。食塩や砂糖、肥料はもちろん、医薬品の原薬もほとんどが結晶性の固体です。これらの多くは、溶液から結晶として取り出す「晶析(しょうせき)」という単位操作でつくられています。
蒸留が沸点の差を利用する(連載第14回に詳報)のに対し、晶析は溶解度を利用します。熱で分解しやすい物質にも適用できます。また、結晶に不純物が取り込まれにくいため、1回の操作でも高い純度を得やすい特長があります。晶析は、分離と同時に製品の粒をつくる操作でもあります。純度だけでなく粒径も品質になり得る点が、流体だけを扱う蒸留やガス吸収と大きく異なるところです。
水に食塩を溶かしていくと、ある濃度以上には溶け残ってしまいます。この限界が溶解度で、横軸に温度、縦軸に濃度を取って表した曲線が溶解度曲線です。多くの物質では、温度が高いほど溶解度は大きくなります。結晶を析出させるには、溶液の濃度が溶解度を上回った過飽和の状態をつくる必要があります。濃度が溶解度を超えない限り結晶は増えません。
ただし、溶解度をわずかに超えただけでは結晶は現れません。図1のように、未飽和の溶液(点a)を冷やしても、溶解度曲線を横切った点bでは結晶は発生しません。さらに冷却が進んだ点cで初めて結晶が現れます。この点cを結んだ曲線を過溶解度曲線と呼び、溶解度曲線との間の領域を準安定域と呼びます。準安定域は、過飽和ではあるものの、新しい結晶核が自然には発生しにくい領域です。一方、すでに結晶があれば準安定域でも結晶成長は進みます。準安定域の幅は冷却速度や撹拌(かくはん)、不純物の有無でも変わります。
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