まず「GIP2028」および2030年度環境目標において、自社バリューチェーンにおけるCO2排出削減量(OWN IMPACT)に関する基準線を、GIP2024開始当初の1億751万トン(2020年度の排出量)から、1億6792万トンへと改めた。これは、新たな対象範囲や算出方法を2020年度当時の排出量に適用したものだ。これにより、2020年度からどれだけCO2排出量削減が実際に進んでいるのかを分かりやすく示せるようにする。
その上で、自社バリューチェーンにおけるCO2排出量は2026年度で2100万トン、2028年度で1600万トン、2030年度で550万トンという削減目標とする。最終的な2030年度の削減量が550万トンというのは非常に小さく見える。
それについて下野氏は「もともと増販分があっても削減努力で減らすということを計画していたが、社会の脱炭素化の機運や進展が当初の見込みよりも遅れており、思った形では進んでいないため現実的な形で修正した。OWN IMPACTには2つの側面があり、1つはパナソニックグループ内での努力によるものだが、もう1つは社会における排出係数設定などに影響を受けるものだ。この社会の進展の部分が想定通りではなかった。ただ、2050年に1.1億トン削減するという目標は変えていない。米国の姿勢や紛争などもあり足踏み状態になっているが、今後社会の変化も起こり得る」と説明する。
また、CO2排出実質ゼロ拠点については、2028年度に86拠点を目標とする。ただ、2030年度までの全286拠点の実質ゼロ化を目指す中で、中間目標としては少なく見える。下野氏は「2030年度に全拠点実質CO2排出量ゼロ化を進める目標は変えていない。全事業会社にロードマップを作ってもらっており、その計画通りに進めば達成できる。ただ、今回はその中身について精査を加えてもらっている」と述べる。
拠点においてCO2排出量削減を進める方法は、どの企業であっても基本的にはそれほど変わらない。最初に各拠点で使用するエネルギーを見直す省エネ化を進め、そもそもエネルギー量を減らす。そして、再生可能エネルギーなどクリーンなエネルギーの使用を拡大する。最終的にそこで賄いきれないエネルギーについては、グリーン電力証書などクレジットで埋め合わせるという流れだ。
下野氏は「省エネと再エネ活用の2つでどこまで頑張れるかが拠点としての競争力につながる。そこで、GIP2028から『省エネ』『再エネ』に関する個別の削減量目標を設定している。2030年度までを見た場合、クレジットも値上がりすることが予想されており、コストがかかりすぎて難しくなることも想定される。そうならないように、事前の対応を進めている」と語る。
また、新たに統合報告書で開示した環境関連の取り組みとして、環境関連知財による貢献を示している。これは、パナソニックグループが持つ環境技術に関する知的財産を共創パートナーに使用してもらうことで生まれるCO2排出量の削減効果を算出したものだ。無形資産を脱炭素技術の社会実装に転換することで社会価値に変える取り組みの1つとして推進している。ただ、この数値は、WBCSDガイダンスなどに準拠して算出しているが、現時点ではCONTRIBUTION IMPACTの削減貢献量には含めていないという。
環境を切り口に“売った後に価値が上がるモノづくり”に挑戦するパナソニックHD
パナソニックHD、“もうかる環境”に向け削減貢献量や資源循環の金額価値を提案
パナソニックHDが最新R&D公開、「現場CPS」や「Design for CE」で見せる製造革新
廃プリント基板の資源循環スキームで、パナソニックと三菱マテリアルが組む理由
再生モノづくりへの変革と難しさ、新しい工場の形を探るパナ宇都宮工場
いまさら聞けない「CO2ゼロ工場」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム