産業デベロッパーを目指す三井不動産は、研究開発施設やサプライチェーン拠点としての機能拡充も進めている。その一例が、2026年6月に竣工した複合業務施設「MFIP 海老名&forest」である。同施設は1階と2階を物流用途、3階と4階をオフィスや研究開発ラボなどのマルチユース区画として整備した。既に、新日本空調が研究開発拠点を開設するほか、横河レンタ・リースがPCのライフサイクルマネジメント拠点のテクニカルセンターを開設することが決まっている。
また、近年のEV(電気自動車)や系統用蓄電池、半導体、化学、医薬品産業などの成長に伴い、リチウムイオンバッテリーや化粧品、塗料などを保管/配送する危険物物流の拡充も進める。大阪市で建設中の「SGリアルティ・MFLP大阪加島」には、別棟として危険物倉庫を設置する。「日本の産業インフラを支える観点から、需要があれば新分野にも挑戦したい。海外の産業構造で普及しているような賃貸型の工場についても、日本の産業構造のニーズと合致すれば十分に検討対象になり得る」(涌井氏)。
一方、物流領域においては、将来的な自動運転技術の社会実装を見据え、施設オペレーションの高度化を進めている。2025年4月にはダイナミックマッププラットフォームと基本合意を締結し、物流施設向け高精度地図の提供やサービス検討を開始した。また2026年7月には自動運転スタートアップのT2へ出資し、高速道路インターチェンジに近接する物流施設における自動運転トラックへの対応や、有人と無人の切り替えオペレーションなど、具体的な運用方法の検討を始めている。
施設内オペレーションの効率化においては、AIカメラによる車番認識を活用してトラックの入退場管理や荷役時間の可視化を実現するサービス「(仮称)MFLP & LOGI Berth」の実証実験を実施した。Hacobuのトラックバース予約システム「MOVO Berth」と連携させることで、車番をもとに予約車両の入退場を自動で登録することが可能となり、1日当たり約600台の荷役時間の可視化とドライバーの荷待ち時間削減を実現した。
三井不動産は、従来の物流拠点の開発や運営にとどまらず、研究開発施設やデータセンターなどを網羅する産業デベロッパーへの進化を目指す。涌井氏は「単なる場所の提供にとどまらず、お客さまのサプライチェーンや物流戦略の段階から日常的にご相談いただき、経営課題をともに解決するパートナーになりたい」と語り、産業インフラの構築を通じて企業の発展を支える姿勢を示した。
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