NECは「国際物流総合展2026」において、需要予測や生産計画などの複数システムを横断し、トラブル検知から解決案の提示までを自律的に実行する「NEC SCM AIエージェント」を披露した。
NECは、「国際物流総合展2026」(2026年9月8〜11日、東京ビッグサイト)において、サプライチェーンマネジメント(SCM)にかかわる複数システムを横断し、多様な業務を自律的に実行する「NEC SCM AI(人工知能)エージェント」を披露した。同月に販売を開始した新ソリューションだ。
製造、卸、小売り、物流など多くのプレイヤーが介在するSCM領域では、企業ごとに業務プロセスが異なり、複数のシステムが乱立している。現状では、システムの分断を担当者の経験や、電話やメールといったアナログな手法でつないでいるケースが多い。急激な需給変動や供給遅延といった異常が発生した際にも、Excelを用いたマンパワーでの集計など、属人的な対応に追われている。
NEC SCM AIエージェントは、こうした現場の課題を解決する。従来のLLM(大規模言語モデル)単独では対応が難しい正確な数値予測や最適化を、機械学習や同社独自のAI技術と連携させることで実現した。
システムは、全体を統括する「オーケストレーターAI(親エージェント)」と、需要予測や生産計画最適化、物流計画最適化、在庫計画最適化、調達交渉、納期回答、需要変動検知といった各業務に特化した「子エージェント群」で構成される。
例えば、AIが社内のメールや議事録などを監視し、「量産立ち上げが前倒しになった」といった部品の欠品リスク(異常)を検知すると、まず親エージェントに報告が上がる。親エージェントは状況を把握した上で、各子エージェントに対して「需要予測の変更」「物流計画の変更」といったタスクを自律的に振り分ける。
指示を受けた子エージェントは影響範囲を算出し、「このままだと他の部品も欠品する」といったリスクとともに、「5月の生産計画を増やす」などの具体的な対応案を複数作成して人間に提示する。人間はAIが固めた解決策を確認し、承認/却下/条件を変えて再提案させるといった、最終的な意思決定のみを行う流れだ。NECの説明員は、「人間はデータ集めや連携作業から解放され、『人にしかできない価値の高い意思決定』に集中できる業務スタイルへと移行できる」と語る。
また、最初から全てのSCM業務を同社のAIに置き換える必要はないという。
「親エージェントと特定業務の子エージェント1つといった、最小構成からのスモールスタートも可能だ。顧客がすでに他社の需要予測システムや独自システムを導入している場合でも、APIなどの連携口があれば接続して利用できる。特定のシステムにロックインされない柔軟な作りとしている」(同説明員)
現在、NECでは前述した7つの子エージェント機能を提供しているが、顧客や市場の需要に合わせて拡張していく。なお、複数のシステム横断などにおいて懸念されるセキュリティやガバナンスについては、同社の「AI Platform Service」基盤を通じて安全な運用環境を担保するという。
販売価格は年額1800万円(税別)からで、使用するデータ量や機能によって変動する。NECは、製造業や小売業など幅広い業種に向け、今後5年間で100社への導入を目指すとしている。
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