NVIDIAは、組み込みAIボード「Jetsonシリーズ」の最新製品である「NVIDIA Jetson AGX Thor」の新たな量産モジュールとして、消費電力や搭載メモリ容量などを抑えた「Jetson T3000」と「Jetson T2000」を追加すると発表した。
NVIDIAは2026年7月16日、組み込みAI(人工知能)ボード「Jetsonシリーズ」の最新製品である「NVIDIA Jetson AGX Thor(以下、Jetson Thor)」の新たな量産モジュールとして、消費電力や搭載メモリ容量などを抑えた「Jetson T3000」と「Jetson T2000」を追加すると発表した。
これまでJetson Thorの量産モジュールは、「Blackwell」世代のGPUの搭載によって実現したFP4(4ビット浮動小数点演算)で2070TFLOPSのAI処理性能を持つメモリ容量128GBの「Jetson T5000」と、同1200TFLOP/64GBの「Jetson T4000」を展開していた。
T3000は、FP4のAI処理性能が865TFLOPSとなるものの、T5000と比べてメモリ容量を4分の1の32GB、消費電力を約2分の1の70Wに抑えつつ、モジュールサイズも半減させている。CPUのコア数もT5000の14コアから8コアに削減した。T5000からダウンサイジングしているものの、273GB/sのメモリ帯域幅や25GbEの高速ネットワークインタフェースは維持している。T3000については、協働ロボット向けに機能安全機能を備える「IGX T3000」も用意した。
T2000は、FP4のAI処理性能を400TFLOPS、メモリ容量を16GBに削減し、消費電力を40Wに抑えた。モジュールサイズはT3000と同じである。
T3000とT2000は2027年第1四半期に発売される予定だ。T3000とT2000を用いた製品のソフトウェア開発を先行して行う場合には、Jetson Thorの開発者キット向けのエミュレーションモードを活用できる。T3000のエミュレーションモードは、2026年7月後半にリリースされる「JetPack 7.2.1」で使用できるようになる。T2000のエミュレーションモードはそれ以降のリリースで対応する。
T3000とT2000の発表に併せて、Jetsonに組み込むAIエージェントをはじめとするAIアプリケーションのメモリ使用量を最適化する「Jetsonエージェントスキル」もリリースされた。
このJetsonエージェントスキルを用いることで、AIアプリケーションのソフトウェアスタック全体を最適化し、数日の開発期間でメモリ使用量を大幅に削減できるという。これにより、現在製品に使用しているJetsonの量産モジュールを、よりメモリ容量の少ないものに置き換えることが可能だ。
例えば、ヒューマノイドメーカーのUBTechやAgile Robots、産業ソリューションプロバイダーのConnect Techは、メモリ使用量を最大15GB削減し、Jetson AGX Orinのモジュールについて64GB品から32GB品への移行を実現した。スマートリテールを手掛けるSandStarは、メモリ使用量を最大4GB削減し、Jetson Orin NXのモジュールを16GB品から8GB品に置き換えたという。
日本のメーカーでは、家族型AIロボット「LOVOT」を展開するGROOVE Xが、Jetsonエージェントスキルによる異種AIアクセラレータを活用したワークロードの分散でメモリ使用量を削減し、Jetson Orin NXのモジュールを16GB品から8GB品に置き換えた。
Jetsonエージェントスキルは、Jetson Orin NX以前の製品である「Jetson TX2 NX」にも適用可能だ。インテリジェント交通関連の事業を展開するNoTrafficは、メモリ使用量を30%削減することでさらに多くのAI機能を追加できるようになったという。
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