衝突の設計や、個人の共感の醸成が進められたとしても、コミュニケーションレベルの摩擦が生まれると、最終的に部門間連携を阻むことになりかねません。
発起人が「120%考えてからでないと失礼だ」「繁忙期に迷惑を掛ける」と考えて行動が生まれにくくなる「配慮文化」と、受け手が「ウチの仕事じゃない」「リソースが無い」と壁を作る「排他的文化」が重なると、そもそも相談や連携のコミュニケーション自体が起こらなくなります。
異文化の職場ではこれがさらに増幅されます。連載第1回でお伝えしたように、テトリス型の職場では定められた役割を越境した依頼を行うとそれが職務侵害と映り、低コンテクストの職場では「察してほしい」という連携願望は言語化されない限り見向きもされません。ゴルフ型とラグビー型が混在する会議では、部門横断の対話が機能不全に陥ります。
解決策は、越境の作法を「Our Style」とし、共通の言葉をつくることです。このあたりは連載第2回でも触れたように、発起人には「未完成でも、雑な相談でもよい」、受け手には「まず共感と復唱で返す」という型を組織の約束事にします。
テトリス型の職場なら協働タスクをブロックとして再定義し、低コンテクストの職場なら期待値を言語化します。会議では「今日はラグビー型」「このパートはゴルフ型」と型を冒頭に宣言するようにします。異文化環境で越境コミュニケーションを機能させるには、リーダーがOur Styleの実践を牽引(けんいん)することが必要です。
生産現場では品質のバラつきをなくすために標準作業手順書を整備し、開発では異なるシステムをつなぐためにインタフェース仕様を定義します。
組織のコミュニケーションも同じです。共通目的の衝突を設計し、協働意思を引き出す共感の構造を作り、越境の作法をOur Styleとして運用します。この3つを「技術として設計できるリーダー」が、異文化の現場でイノベーションを生む組織をつくることができるのです。
本連載を通じて「文化の違いは障壁ではなく、設計すべき仕様の違いなのだ」というメッセージが伝わっていれば幸いです。計4回にわたりお読みいただき、誠にありがとうございました。
齋藤 友佑(さいとう ゆうすけ)氏
株式会社リンクアンドモチベーション
組織人事コンサルタント
横浜国立大学経営学部卒業後、新卒で株式会社リンクアンドモチベーション入社。組織人事コンサルタントとして、企業の人材開発や組織開発支援に従事。2018年、インタラック関東南 代表取締役に就任。公立学校にネイティブ英語教師を派遣する教育事業に従事し、1000人の外国籍人材をマネジメント。リンクジャパンキャリア代表取締役を務めたのちに、「外国籍人材と日本企業の良い関係性作り」を目指して、英語圏を中心とした人材紹介サービスを提供。
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