日本オラクルはアプリケーションやビジネスプロセスの変革も含めて、クラウドリフトによって顧客のレガシーシステムをモダナイゼーションすることを理想に掲げている。しかし、この理想をすぐに実現できる顧客はいないため、まずは「インフラストラクチャの部分だけでもモダナイゼーションし、クラウドのもたらすメリットを享受すること」を目標にして、これまで事業を展開してきた。
三澤氏は「ITシステムは『ジャーニー』がすごく重要である。オンプレミスにあるものをクラウドリフトすることにより、クラウドシステムが提供するAIやデータプラットフォームの仕組みを活用して、同じドメイン内でレガシーシステムを進化させていくことが可能になる」と述べる。
続けて三澤氏は「AIの『影』の部分といえる、最先端の汎用AIモデルであるフロンティアAIに関する対策が必須となってきている。だが、日本企業の基幹システムはオンプレミス環境で動いていることが多く、さまざまなネットワークやサーバストレージ、OS、無数のソフトウェアなどがパズルのように組み合わさってシステムが出来上がっている。このような状態でフロンティアAIのような脅威に対応することは不可能に近い」と見解を語った。
このような背景から日本オラクルは、オラクルの共同設立者であるラリー・エリソン氏が発した「AI Changes Everything」という言葉に基づき、AIが持つ「光(メリット)の側面」を加速させつつ、「影(脅威)の側面」を信頼に変えていくという方針を立て、これにのっとり事業展開を進める。
日本オラクルは顧客のインフラストラクチャ領域のクラウドリフトを支援し、顧客の要望に合わせたアプリケーションをPaaS(Platform as a Service)化していくことで、安心して基幹システムをオラクルに委託できるような環境作りを進める。最終的にはSaaSのシステム上で基幹システムが動作する環境を目指して、顧客の「クラウド/AIジャーニー」を支援する。
これまでのAI活用は推奨や参照にとどまっていたが、これからはAIエージェントが自ら業務を実行する「基幹系AI」の時代へと移行するといわれている。そして、基幹系AIを実現するためには、人間が仕事や概念について持つ意味/関係性を整理し、コンピュータが理解できるように体系的に構造化した“オントロジー”や、言葉/データが持つ意味や文脈を表す“セマンティック情報”といったコンテキストを理解するデータプラットフォームが必要だ。
三澤氏は「他社製のさまざまなデータベースをつぎはぎする複雑なシステム構成ではAIを駆動させるためのデータプラットフォームを作り上げることは難しい。これに対しオラクルは、ワンストップでシングルのデータベースシステムを提供できる。優れたAIをデータプラットフォームと組み合わせることでAIの光の側面を実装していく」と強調する。
また、オラクルが展開する「Oracle Fusion Cloud Applications」や「Oracle NetSuite」などのERPやSaaSシステムは、ビジネスを記録する「System of Record」から、AIがビジネスを実行する「System of Outcome」へと進化するという。実際に同社は、AIエージェントが作業を実行する基幹系のアプリケーションである「Fusion Agentic Applications」を22種類展開している。また、ユーザーが独自のAIエージェントを開発/管理できる「Oracle AI Agent Studio」も提供している。
三澤氏は「われわれの未来型SaaSやAIアプリケーションを活用して、デンソーが全世界のサプライヤーマネジメントの仕組みの再構築を始めることになった。デンソーとともに、レガシーシステムからAIを使用した新しいアプリケーションや業務プロセスのデザインを進めることで、日本の製造業が次に目指すべき姿を示していける」と述べる。
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