パナソニック インダストリーは、キャリア付き微細配線タイプやビルドアップフィルム、ガラスキャリアを組み合わせて、パネルレベルのファンアウト型パッケージを実現できることを確認している。
この組み合わせの利用手順は以下の通りだ。パナソニック インダストリーはプリント配線板の1層目として、ロールあるいはシートの状態でキャリア付き微細配線タイプを基板メーカーに提供する。次に基板メーカーは既存設備を用いて、キャリア付き微細配線をベースに、ビルドアップフィルムの積層を行う。続いて、ビルドアップフィルムの最下層にガラスキャリアを取り付ける。
その後、メタルキャリアを外して、キャリア付き微細配線タイプの配線部を露出させ、その上部にチップを装着できるようにする。
「メタルキャリアが『ダミーコア』として機能するため、極薄のフィルムを積層しても基板が反ったりたわんだりせず、ハンドリングが容易になるという副次的なメリットもある。メタルキャリアの存在により極薄基板の製造が容易になる点も評価されている。さらに、配線が細くなることで、これまで引き回しのために3層、4層必要だった基板の1層を減らせるケースが多くある。層数が減ればトータルコストが逆転するため、技術面だけでなくコストダウンの観点からもメリットがある。加えて、ガラスキャリアが実装工程での反りを抑制し、安定したチップ実装が可能だ」(森田氏)
森田氏は「これまで10μm以下の微細配線や優れた高周波特性を実現するためには、ガラスコア基板やシリコン/有機インターポーザといった新しい材料と、専用の塗布装置や露光機などの新規設備の投資が必要だった。しかし、チップ実装面の最表層にキャリア付き微細配線タイプを用いることで、既存の設備や材料を用いて、微細化と平滑性が求められるアンテナ素子部やチップ間伝送部の高性能化を図れる」と話す。
同社では、キャリア付き微細配線タイプとプリプレグを活用したキャリアレス化も検討中だ。「2層目以降をビルドアップしていく際に、ガラスクロスがしっかり入った一定の厚みと剛性を持つ『プリプレグ』を活用すれば、仮止めのガラスキャリアを貼らなくても、裏面のメタルキャリアを直接剥がせる」(森田氏)。
キャリア付き微細配線タイプのメインターゲットは基板メーカーだ。森田氏は「直接納入する顧客は基板メーカーだ。一方で、このプロセスを採用するかどうか意思決定するのはチップベンダーとなる。そのため、チップベンダーにキャリア付き微細配線タイプを用いたパッケージ設計を認定してもらった上で、実際に積層を行う基板メーカーに販売する形になる」という。
キャリア付き微細配線タイプの量産開始は2028年度を予定しており、岡山県の津山工場で生産を行う。量産開始から3年目には単年で50億円の売上高を目指す。
キャリア付き微細配線タイプのさらなる微細化にも注力している。森田氏は「インプリント工法の特性上、モールドさえ作成できれば1μm、あるいはサブミクロン(0.8μmなど)への微細化も原理的には可能である。現在、2μm以下の領域の開発も進めており、実験レベルでは既に回路形成に成功している」とコメントした。
今後の目標としてはキャリア付き微細配線タイプの「多層化」の実現も掲げている。森田氏は「ロール to ロール 一括両面配線のプロセス内で微細配線タイプの層自体を3層、4層と多層化する技術が確立されれば、先端半導体の主戦場であるCPUやGPUといった『XPU向け』の先端半導体市場に直接参入することが可能となる。低コストと超微細/多層配線を両立する製品として、技術開発を続けている」と明かした。
なお、同社は「電子機器2026 トータルソリューション展」(会期:2026年6月10〜12日、会場:東京ビッグサイト)でキャリア付き微細配線タイプを披露する予定だ。
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