2025年度通期でもスズキがホンダを抜いて2位に、明暗分かれた日系自動車生産自動車メーカー生産動向(3/5 ページ)

» 2026年05月21日 08時00分 公開
[MONOist]

スズキ

 好調が続くスズキは、年度生産でもホンダを上回り、トヨタに次ぐ2位につけた。2025年度の世界生産は、前年度比7.2%増の353万2868台と5年連続で増加し、過去最高を更新した。けん引役は世界生産の3分の2を占めるインドだ。2025年2月からカルコダ工場の稼働を開始した他、GST引き下げによる需要拡大へ対応した増産、新型車「ビクトリス」やEV「eビターラ」などの投入、さらに中近東およびアフリカ、日本向けの輸出増加などにより、同11.7%増の234万7056台と5年連続で増加し、年度のインド生産として過去最高を更新した。インド以外の海外生産も、インドネシアで「フロンクス」の生産開始が純増となり、同5.6%増の21万622台と3年ぶりに増加した。海外生産トータルでは同11.1%増の255万7678台と2年連続で前年度実績を上回り、こちらも過去最高を記録。8社の海外生産で最も高い伸び率だった。

 海外が好調の半面、国内生産は低迷が続く。前年度比2.0%減の97万5190台と2年連続の前年割れとなった。中央発條の爆発事故の影響により2025年4月にかけて相良工場(静岡県牧之原市)と湖西第2工場(静岡県湖西市)で稼働停止を余儀なくされ、「スイフト」「ソリオ」「クロスビー」「アルト」「ワゴンR」などに影響が出た。さらに5月から6月にかけては、中国のレアアース輸出規制の影響でスイフトの生産を停止。また、欧州向け「イグニス」「ジムニー」の生産終了も減産要因となり、輸出も同3.9%減の20万8484台と3年連続のマイナスとなった。

 足元でもインドを中心に好調が続いている。3月単月の世界生産は、前年同月比20.5%増の33万5624台と7カ月連続で増加。全ての月を通じて単月の世界生産として過去最高を更新した。8社でも最大の伸び率で、トヨタに次ぐ2位につけた。インドは、GST引き下げ需要対応の増産に加えて、ビクトリスの純増、輸出の増加などで、同19.1%増の23万1994台と7カ月連続のプラス。インドの単月生産として過去最高を記録した。ただ、インド以外の海外生産は同12.0%減の1万5387台と2カ月連続で減少した。それでもインドの好調がけん引し、海外生産トータルも同16.5%増の24万7381台と7カ月連続で前年実績を上回るとともに、単月の海外生産として過去最高となった。

 国内生産も大きく伸長した。前年同月比33.4%増の8万8243台と6カ月ぶりにプラスへ転じた。前年が中央発條の爆発事故の影響で稼働停止を余儀なくされた反動増が表れた格好だ。輸出も同80.1%増の2万2388台と急伸し、2カ月ぶりに増加した。

ホンダ

 8社の中で最も落ち込んだのがホンダだ。2025年度の世界生産は、前年度比7.3%減の337万1664台と2年連続で前年度実績を下回り、スズキに次ぐ3位に順位を落とした。海外生産が低迷しており、同9.5%減の266万4664台と2年連続の前年割れ。8社で最も大きな減少率となった。特にEVシフトなどにより競争が激化する中国が同16.2%減の63万7464台と大幅減となり、5年連続のマイナス。中国で生産する日系4社では唯一の2桁%減となった。中国では新型EV「イエ」シリーズを投入したが、販売は低迷している。中国以外のアジアも価格競争激化などの影響で低迷し、アジアトータルでも同18.7%減の100万5291台と5年連続で減少した。また、主要市場の北米では、ネクスペリアの半導体供給問題により10月末から11月下旬にかけて、メキシコ工場の稼働を停止した他、米国やカナダでも生産調整を余儀なくされた。その結果、北米生産も同3.5%減の155万1634台と3年ぶりの前年割れとなった。

 一方、国内生産は、前年度比2.1%増の70万7000台で、2年ぶりに増加した。国内販売では、国内最量販の主力車種「N-BOX」の他、「フリード」も前年の新型車効果の影響により台数を落としたが、EVを追加した「N-ONE」や、「ステップワゴン」が伸長した。さらに輸出も、北米や欧州、アジア向けが伸長し、同28.2%増の10万8780台と2年ぶりのプラスとなり、国内生産の増加に貢献した。

 足元でも厳しさは続いており、「一人負け」の様相を呈している。3月単月の世界生産は、前年同月比4.8%減の31万3259台と2カ月連続で減少。8社の中で唯一の前年割れとなった。要因は海外生産で、同8.0%減の24万6509台と3カ月連続のマイナス。中国の落ち込みが激しく、同29.4%減の5万1234台と6カ月連続で減少した。アジアトータルでも同28.9%減の7万9249台と6カ月連続で前年実績を下回った。一方、北米は、半導体供給問題からの稼働再開もあり、同3.5%増の15万4768台と4カ月連続のプラスで、回復が進んでいる。

 国内生産は、前年同月比9.2%増の6万6750台と4カ月連続で増加した。4月の国内販売を見ると、国内最量販のN-BOXが同14.9%減と大きく落ち込んだものの、ステップワゴンが同127.7%増と倍増した他、フリードや「ヴェゼル」「フィット」など主力モデルがそろってプラスを確保し、N-BOXの落ち込みをカバーした。輸出は北米向けの大幅減などもあり、同2.8%減の6395台と2カ月ぶりのマイナスだった。

 なお、ホンダは2026年5月14日の決算発表に合わせて、中長期の事業戦略を発表した。これまで掲げていた2040年に全ての新車販売をEVとFCV(燃料電池車)にする目標を撤回するとともに、次世代HEVを中心とした戦略を打ち出した。同社 社長の三部敏宏氏は「2030年までのビジネスはHEVがメインになると考えている」と述べ、2029年度までに次世代HEVをグローバルで15モデル投入することを明らかにした。また、市場が拡大するインドを、北米や日本と並ぶ注力地域と位置付け、コスト競争力を高めた次世代商品を積極展開していく方針だ。

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