説明会の後半では、ウイングアーク1st、NSW、ソフトマックスの3社が自社サービスにおける実際のユースケースと導入の背景について語った。
ウイングアーク1stは、デジタル帳票などを扱うビジネスドキュメント事業と、データ分析などを担うデータエンパワーメント事業を展開している。同社は、これら2つの事業が提供するシステムへ、AI技術を組み込むための自社開発のAIプラットフォーム「dejiren AI」を独自開発した。このdejiren AIが持つAI機能と、Oracle DatabaseやOCI Generative AI、Oracle Fusion Cloud ERPなどのオラクルのAI機能を連携させることで、システムの機能をさらに拡充させる狙いだ。
ウイングアーク1st Business Data Empowerment SBU 技術本部 dejiren開発部部長の大畠幸男氏は、「Oracle AIはセキュリティの高さとコストパフォーマンスの観点で高く評価している。それぞれのAIモデルにある得意、不得意を組み合わせることで、顧客に対して最適化されたAIエージェントを提供できる」と語った。
流通、小売、外食産業向けシステムを提供するNSWは、自社の小売向け製品におけるSaaS移行を進めている。その過程で、顧客からのAI活用ニーズが高まっていたことを受け、Oracle Cloudを基盤としたAI機能の構築に取り組んだ。
今回開発したのが、販促媒体校閲ソリューションの「Smart Promo Check AI」だ。販促チラシのデータと自社の商品マスターデータをAIに読み込ませることで、チラシ内の価格や商品名に誤りがないかを自動で点検する。また、競合他店のチラシ情報などを読み込むことで比較や分析を行い、自社の価格設定やプロモーション戦略に反映させることもできる。
NSW エンタープライズソリューション事業本部 アカウントビジネス事業部 事業部長の渡邉哲也氏は、「今後はAIを追加オプションとしてではなく、標準機能として拡充させていく。POSレジの不正検知や接客支援AI、発注/在庫/価格の最適化などにAIの活用範囲を広げていく計画だ」と語った。
ソフトマックスは、医療業界向けにWebベースの電子カルテシステムを展開するSaaS事業者だ。近年、医療機関を標的としたサイバー攻撃が深刻化するなか、同社はセキュリティ強化とクラウドネイティブ化を目指し、既存システムと親和性の高いOCIへの移行を進めている。
脳神経外科 日本橋病院との共同実証では、Oracle Enterprise AIの活用により、紹介状の作成時間を従来の20〜30分から5〜10分へ短縮した。現在はこれとカルテの要約作業に加え、診察時の会話を自動でテキスト化してカルテへ入力する機能を開発中である。
ソフトマックス 医療DX推進・企画部 上席執行役員部長の古瀬拓也氏は、「今後は各種文書作成のさらなる高度化や、電子カルテシステムへの自然言語検索機能の実装などを目指し、医療現場の働き方改革に努めたい」と語った。
吉川氏は昨今業界内で議論される「SaaSの死(SaaS is dead)」について問われると、「AIをネイティブに組み込んでいないSaaSは、もはや死んだも同然といえるほどの危機感はある」と語った。
激しい変化が続くAI時代において、SaaS事業者が競争力を維持し続けるためには、技術の陳腐化を防ぎ、常に最新のモデルへ適応できるアーキテクチャの構築が欠かせない。オラクルは今後も柔軟かつ強固なAI基盤の提供を通じ、SaaSの進化と顧客企業の業務プロセス変革を支援していく構えだ。
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