三菱食品と日清食品が物流DXで協業、AI活用でトラック台数約30%削減へサプライチェーン改革

三菱食品と日清食品は、食品流通におけるサプライチェーンの効率化に向けて、「商流」と「物流」のデータ連携による協業を開始した。AIを活用した発注最適化により、配送トラック台数約30%の削減を見込む。

» 2026年05月14日 07時30分 公開
[安藤照乃MONOist]

 三菱食品と日清食品は2026年5月11日、食品流通におけるサプライチェーンの効率化に向けて、「商流」と「物流」のデータ連携による協業を開始したと発表した。実証では、発注業務にAI(人工知能)モデルを活用することで、配送トラックの台数を約30%削減できると試算した。両社は引き続き、製造、卸売業、小売業を横断する新たなデータ連携の仕組み作りを推進していく。

2025年度は3つの実証、月間約200時間の業務削減を確認

 現在、食品流通業界では、エネルギー価格の高騰や需要変動の拡大などにより、輸配送コストの上昇が課題となっている。しかし、各企業が個別に自社のみの効率化を追求するだけでは効果が限定的であり、サプライチェーン全体の最適化は難しいのが現状だ。

 こうした課題認識の下、三菱食品と日清食品は、卸売業とメーカーというそれぞれの立場から、2025年10月より商流と物流のデータを連携させる実証的な取り組みを進めてきた。具体的には、両社の発注計画や物流実績などのデータ連携を通じた受発注/需給調整業務の自動化、倉庫や配送トラックといった物流資産の相互活用、そして製造、卸売業、小売業をリアルタイムにつなぐデータ連携基盤の構築などが挙げられる。

 2025年度の実証では、主に3つの成果を確認した。1つ目は、三菱食品が持つ特売発注予定データの事前共有により、日清食品における在庫調整の業務時間を月間約200時間削減したことだ。2つ目は、日清食品から三菱食品への商品情報の自動連携により、登録業務を効率化した。3つ目は、三菱食品からの発注時にAI発注モデルを導入することで、トラック1台当たりの積載効率を高め、配送トラック台数を約30%削減できると試算した。

 両社はこれまでも独自に物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきた。三菱食品は2022年に物流DXの専門組織を発足し、配送管理システムの導入で積載率を向上させることにより、年間約6500台の配車削減などを実現した。日清食品は、パレット輸送の推進に加え、主力商品である即席めんと他社の重量貨物を組み合わせた混載輸送などを通じて、車両台数の削減に取り組んできた。

 今後両社は、製造業、卸売業、小売業の各企業がメリットを享受できる「共創型データ連携プロセス」の構築を進めていく。サプライチェーンに存在する「ムリ、ムダ、ムラ」を可視化し、企業の垣根を越えたデータ連携を行うことで、食品流通業界全体の商習慣を変革していく方針である。

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