パナソニックHDはAIインフラ事業2.5倍成長に向け5000億円投資、MIF戦略も推進製造マネジメントニュース(2/3 ページ)

» 2026年05月13日 07時15分 公開
[三島一孝MONOist]

AI関連デバイスとデータセンター向けが大きく成長する2026年度

 2026年度の連結業績見通しは、売上高が2025年度比6%減の7兆6000億円、調整後営業利益が同34%増の6000億円、営業利益が同133%増の5500億円、税引き前利益が同109%増の5500億円、当期純利益が同122%増の4200億円と予測する。減収増益という結果を見込むが、売上高の減少については、パナソニック ハウジングソリューションズとFicosaの非連結化による影響が中心で、これらを除くと増収増益となるという。

photophoto パナソニックHDの2026年度連結業績見通し(左)とセグメント別業績見通し(右)[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 増益に関する大きな追い風となっているのがAI関連需要の成長だ。パナソニック エナジーにおけるAIデータセンター向け分散型電源システムは、旺盛な需要を続けており、従来は2028年度までに8000億円を目指していたが、1年前倒しで達成する見込み。2028年度には2025年度比で3倍となる9500億円まで成長する見通しだ。

photo パナソニックHD 取締役 執行役員でグループCFOの和仁古明氏

 これに伴い、国内の住之江工場の車載用ラインを転換し2026年4月から出荷を開始した。さらに2028年度には生産能力を3倍に増強する予定だ。一方、当初は車載用で構築していたカンザス工場内にデータセンター向けラインの導入を決定した。パナソニックHD 取締役 執行役員でグループCFOの和仁古明氏は「国内工場(住之江)は車載用電池で自動車メーカー向けビジネスもあるので、ずっと使い続けることはできない。そのため、まずは国内でデータセンター向け電源も製造するが、ゆくゆくはメインはカンザス工場にしていくつもりだ。カンザス工場の何割をデータセンター向けに転用するかはいえないが、一定割合は切り替える」と方向性について述べている。

photo エナジーのデータセンター向け事業の動向[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 パナソニック インダストリーにおけるAI関連でのデバイス需要についても急成長が期待されている。「AI半導体周辺」のみから、サーバやストレージなどの「インフラ領域」と、これらを活用する「エッジ領域」まで拡大し、これらを強化領域として投資を進めていく。これらの内、特にインフラ領域の成長が著しく、2028年度までに2025年度比2倍に成長する見込みだ。これに伴い、AIサーバに使用する多層基板の材料は生産ラインの増設を行う。また導電性コンデンサーについてもライン増設を進める。また、パナソニック エナジーと共同で開発したバックアップユニット向けスーパーキャパシターについても2026年度中に量産を開始する計画だ。

photo インダストリーのAI関連事業の動向[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 また、車載電池事業については、米国EV市況が悪化する中でも販売量は2025年度の38.7GWhから増やし、2026年度は46GWhを見込む。戦略顧客の車両競争力強化に高容量化に貢献する他、米国生産のメリットを生かし、供給先拡大を推進する。Lucid Motorsに2026年度上期から提供を開始する他、Zooxにも2026年度下期から提供を開始する。

photo 車載電池事業の動向[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

中東情勢のマイナス影響は300億円を計上

 中東情勢の悪化による地政学的問題や、メモリ価格の高騰によるリスクについては、2026年度に300億円の費用を計上した。「中東情勢の悪化における影響は、不透明なものとなっている。現在はパナソニックグループに対する1次影響だけを織り込んでおり、2次影響については組み込んでいない。その中で、1次影響として現在影響が出ているのが、樹脂などの高騰による利益影響、中東向けの販売減少だ。さらに進めば部材の調達が困難になり生産や販売の停止という状況も想定されるが今のところそういう影響はまだない。300億円を今回計上したが『まずはこれくらいだろう』というラフな状態の数値だ」と和仁古氏は説明する。

photo 中東情勢の影響[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

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