ZEISS Industrial Quality Solutions(以下、ZEISS)は、ドイツの産業見本市「ハノーバーメッセ 2026」(2026年4月20〜24日)において、最新のインライン3D CT検査装置「INRADIA 3D」のデモを公開した。CTスキャンとAI解析によりリチウムイオンバッテリーセル(LIB)内部の3次元構造を非破壊で可視化。1分間に最大10セルの検査が可能で、生産ラインに組み込むことで全数検査を実現するとしている。
ZEISS Industrial Quality Solutions(以下、ZEISS)は、ドイツで開催中の産業見本市「ハノーバーメッセ 2026」(2026年4月20〜24日)において、最新のインライン3D CT検査装置「INRADIA 3D」のデモを公開した。同装置は、CTスキャンとAI(人工知能)解析によりリチウムイオンバッテリーセル(LIB)内部の3次元構造を非破壊で可視化するもの。デュアルロボットアームを備え、1分間に最大10セルの検査が可能で、生産ラインに組み込み、「3Dによる真の全数検査を実現」するとしている。
電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵用途などの拡大に伴い、LIBの需要は急速に高まっている。生産規模の拡大も進む一方、バッテリーセル内部の欠陥は故障や発火といった事故につながるリスクがある。そのため、安全性の確保は電動化を支える前提条件となっており、製造段階での品質管理の重要性が増している。
ZEISSの担当者は「自動車サプライヤーとして、100万個のバッテリーを受け取り、そのうち1000個が不良だった場合、リコール問題につながる可能性があるだろう。だからこそ、生産におけるエンドツーエンドの品質保証が不可欠だ」と説明する。バッテリー生産が大規模化する中で、全てのセルが確実に信頼性を持って動作することをどのように保証するのか。INRADIA 3Dはこうした課題を解決するシステムだという。
バッテリーセル内部では、正極(アノード)、負極(カソード)、セパレーターの薄膜構造が積層されており、これらが高精度に配置されている必要がある。しかし、電極の位置ズレや、製造工程で混入する微細な異物は外観からは確認できず、使用後に顕在化するケースも少なくないという。
ZEISSの担当者は「積層が完璧でなく、負極と正極が接触すれば短絡が発生する。また、電池の製造過程で発生した異物混入も、最終的にセパレータを押し出す原因となり、短絡が発生することになる。全ての電池が品質要件を100%満たしているかを確認するためには、全てのセルの内部を検査する必要がある。INRADIA 3Dによってそれが実現できる」と強調する。
INRADIA 3Dによる検査工程では、生産ラインを流れるセルを2つのロボットアームがピックアップし、CT測定位置へと高精度かつ高速に自動配置する。そして、X線撮影によってセル内部を多方向からスキャンし、そのデータを基に3D内部構造を可視化する。
3Dデータからは、電極層の位置関係やセパレーターの状態などがμmレベルで把握でき、積層ズレや異物混入による内部短絡リスクを検出する。データはAIベースの解析ソフトウェアによって処理され、各セルが仕様を満たしているかどうかをms単位で分析するのだという。一連の工程は自動で反復され、処理能力は1分間に最大10セルの検査サイクルに対応。製造現場環境での全数検査を可能にする性能を備えるとしている。なお、検査コストは1セル当たり約0.04米ドルという。
ZEISSの担当者は「ロボットが自動でバッテリーを正確かつ高速に配置し、AIによって膨大なデータを瞬時に解析し、仕様を満たしているかどうかを判定する。当社はこの技術によってバッテリー生産の規模拡大と品質問題という、決定的な課題を解決する」と述べる。
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