ワインに関するちょっとした小ネタを紹介します。今回の商品データには、「ブルゴーニュ ピノノワール」と「ブルゴーニュ シャルドネ」の同名の商品が2つずつありましたね。この時、「商品の名称だから、商品テーブルには、商品名だけ登録しておけばいいや」としてしまうと、同名の商品には対応できません。では、どうすればいいでしょうか。
ワインの識別は、ざっくり言うと、「ワイン法で決まった地区名(地方、村、畑)+ブドウの品種+ビンテージ+生産者名」の組み合わせで特定します※1)。例えば、次の例で考えてみましょう。
※1)表記法は国や商品によって違います。
ブルゴーニュ ピノノワール 2022 ドメーヌヤマウラ
これは、次のことを表しています。
この構造は、身近なネギを例にすると、イメージが深まります。
群馬県産(地区) ホワイトスター(品種名) 山浦農園(生産者)
この情報を消費者が見ると、群馬県の山浦農園で収穫したホワイトスターだと分かりますね。ワインの法律は国によって異なりますが、基本は、「表記した生産地区が狭いほど高級になり、栽培方法が厳しくなる」です。「日本産」ですと、いろいろな都道府県のネギが混じっていますが、「群馬県産」は群馬県限定、「群馬県甘楽郡産」はさらに狭く、「(群馬県甘楽郡)下仁田町産」はもっと狭い地区なので、法律上は高級なネギになります(ワインの場合、最も狭い単位は「畑」で、例えば世界最高価格の「ロマネ・コンティ」は畑名です)。ソムリエの資格試験では、フランスだけでなく、世界のワイン生産地の「法律上の地区名」を覚えねばならず、半年は勉強する必要があるそうです(各生産地区で、栽培してよいブドウの品種が決まっている場合がほとんどです)。
生産者の実力も価格に大きく影響します。同じ「下仁田町産」のネギでも、山浦農園のネギがおいしいとの評判が立てば、1箱1万円で取引されるでしょうが、無名ならただ同然の安い金額になるかもしれません。
ネギは、買ってから数週間以内に食べる場合がほとんどですが、ワイン、特に赤ワインは、何年も寝かせて熟成させる楽しみがあります。ワインはブドウで作る一種の農作物ですので、ブドウの出来/不出来により価格が大きく変動します。天候に恵まれた年は凝縮感が高く、長期熟成しますので資産的な価値があり、毎年、値上がりしますが、雨が多く日照が少なかった不良年は、ブドウが十分に育ちません。生産量が少なく、長持ちしないため、早く飲んでしまいます(逆に言えば、若いうちから楽しめるワインと言えます)。高級ワインでは、生産年の良しあしで価格は10倍以上、違ってきます。
以上から、ワインの商品データには、少なくとも「商品名、地区名、ビンテージ、生産者」が必要で、今回のデータベースの例では、商品名を地区名に含めて定義しています。
本連載で取り上げた「ソフトウェア技術者のためのバグ百科事典」を大幅に加筆、修正した山浦恒央先生の書籍「ソフトウェア技術者のためのバグ検出テキスト」が日科技連出版から好評発売中です。連載でも取り上げた、「要求仕様書のバグ」「実装抜けのバグ」「テスト業務のバグ」など、バグを36種類に分類して解説しています。囲碁や将棋であれば、「相掛かり」「矢倉」「四間飛車」「藤井システム」のような戦法を網羅した内容になっています。
前著「ソフトウェア技術者のためのバグ検出ドリル」(2019年11月刊行)も好評発売中です。実際にバグを含む要求仕様書、設計書、コーディング、デバッグ、保守を具体的に取り上げ、練習問題として31問を出題しました。同書は、囲碁や将棋における「次の一手」的な問題であり、ピンポイントの場面を取り上げ、実践力を鍛えることを目的としています。
両書とも興味のある方は、Amazon.comや書店でチェックしてください!
人間環境大学 環境情報学科 教授(工学博士)
イチから全部作ってみよう(30)データベース操作の共通言語「SQL」を使ってみる
イチから全部作ってみよう(29)3つのノート整理法からたどるRDBMSの基礎知識
イチから全部作ってみよう(28)データ設計に必要なデータベースの基本事項
イチから全部作ってみよう(27)「ACID」で示されるデータベースの4つの特性
イチから全部作ってみよう(26)プログラムは「処理」と「データ」からできているCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み開発の記事ランキング
コーナーリンク