MONOist クラウド基盤を使うことにユーザー側の懸念もあるのではないでしょうか。
猪飼氏 クラウド基盤に関しては、セキュリティに関するユーザー側の不安があるため、われわれとして、ユーザーのローカルネットワークを介さずに、IPCにSIMカードを挿入し、モバイル通信網を使ってクラウド基盤に接続することを推奨している。データ量はそれほど大きくなく、通信コストも高くならない。
ロボットの稼働情報を通して、ユーザーの大まかな生産数や売り上げが推測できてしまうケースも考えられる。その点では、ユーザーが外部に見せたくない情報にはマスクをかけて、ユーザー側だけ見られるようにする機能も備えている。エラーの復旧時だけマスクを解除するといった運用も可能だ。
MONOist クラウド基盤を活用して、今後現場のどのような課題を解決していきたいと考えていますか。
猪飼氏 リモートサービスは、われわれのロボットの事業で、クラウド基盤を活用した初めてのサービスとなる。今後は、このクラウド基盤を最大限に利用して、新たなサービスを追加したい。その一つが、「IIFES 2025」で参考出展したリモート復旧支援サービスだ。
リモート復旧支援サービスは、エラーが起きてロボットが停止し、ユーザーから連絡があった際に、ユーザーの承認の上でサービス会社がクラウド基盤経由でロボットコントローラーにアクセスし、遠隔でロボットを操作して復旧を図るというものだ。
ユーザーの中には、ロボットを触ったことがなかったり、ロボットを動かすためのティーチングボックス自体がなかったりするケースもたくさんある。
例えば、ワークの位置ずれや、ロボットをティーチングし直した際に、ロボットがワークを把持しそびれて、ワークにぶつかってロボットが止まってしまうことがある。その際、まずロボットを安全な位置まで戻す必要があるが、そういった対応も装置メーカーが行う場合が多い。
また、現場の方はロボットの扱い方を知らないため、小さなトラブルでも別の建屋にいる保全や生産技術の担当者が呼ばれるケースもある。企業の中でもロボットを扱える担当者の数は限られている。その企業が複数の生産拠点を持つ場合は、毎回現地に出向くのは負担が大きい。リモート復旧支援サービスはサービス会社が対応する前提で開発中だが、将来的にはユーザー企業の中でも異なる部署の担当者がリモートで復旧できるようにしたい。
MONOist 今後のロードマップを教えてください。
山岡氏 2023年に開始したiQ Care MELFA Supportは、毎年150〜200%近く台数が伸びているサービスとなっている。新規でロボットを導入されるユーザーだけでなく、既存のユーザーにもiQ Care MELFA Supportを提案しており、まずは2030年にリモートサービスで1000台の契約を目指したい。そして引き続き、付加価値の高いサービスの開発を進めたい。
猪飼氏 リモートサービスの開始によってわれわれのアフターサービスの階層を広げることができた。今後は、ユーザーのロボット運用における課題を解決するソリューションサービスにシフトしていけると考えている。データの利活用を進めることで、稼働率やタクトタイムの改善提案などもできる。より高度な分析に向けて三菱電機のデータ基盤「Serendie」の活用も検討したい。データドリブンなサービスの企画、開発を進めて、リモートサービスをより肉厚なものできれば。
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