セラファ・バイオサイエンスは、次世代細胞製造プラットフォームによって細胞医療製品のGMP製造までを視野に入れているものの、低分子医薬品の製造で一般的なCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:開発製造受託機関)ではなく、PRDMO(Partnership Research Development and Manufacturing Organization)型のビジネスモデルを目指す方針である。山口氏は「CDMOはどこにでもある装置で医薬品を作ることを特徴としているが、次世代細胞製造プラットフォームという独自の装置と技術がベースになる点で大きく異なる。アカデミアからバイオベンチャー、製薬企業、政府機関、CDMOなど再生医療エコシステムのハブとなって全方位に向けてパートナーシップを追求していきたい」と強調する。
セラファ・バイオサイエンスは東京の本社拠点に加えて、2026年度に大阪の中之島クロス(大阪市北区)にプロセス開発拠点を開設し、2027年度にはアステラス製薬のつくば研究センター(茨城県つくば市)に隣接する形でGMP製造拠点を設ける。なお、東京の本社拠点は、現在のアステラス製薬本社内から東京科学大学 湯島キャンパス内のロボット未来創造センターに移転する予定だ。
会見には、同センターの副センター長で東京科学大学 難治療疾患研究所 ロボット科学分野 教授の神田元紀氏も登壇した。セラファ・バイオサイエンスと東京科学大学は共同研究契約を結んでおり、神田氏がテーマとする「AIとロボットを使った生命科学研究の『あり方』の革新」の成果を早期に取り込むことが可能な体制となっている。神田氏は「私の研究室の隣にセラファ・バイオサイエンスの本社が入るということで、その距離の近さを生かして緊密に共同研究を進めていきたい。2050年には、さまざまなロボットが数百台、数千台の規模で働くような大規模なロボットセンターで全世界の実験を受託するような構想を描いている」と述べる。
東京科学大学が推進する医工連携の象徴となるロボット未来創造センターは、延べ床面積600m2の敷地内に、まほろ7台を含むロボット実験施設を整備する予定で、国際的にも競争力の高いロボット施設になるという。同センターに入居するセラファ・バイオサイエンスの事業展開にも大きな期待が寄せられている。
山口氏は「2029年度からは海外展開も進めていきたい。当社の次世代細胞製造プラットフォームがグローバル展開するとともに、まほろの普及が進めば進むほど再生医療の可能性をどんどん広げられる。日本から世界へ、再生医療製造の新基準を発信していきたい」と述べている。
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