Catena-X接続「もはや未来の話ではない」、オムロンとNTTドコモビジネス連携製造ITニュース(1/2 ページ)

オムロンとNTTドコモビジネスは、「Catena-X」接続に活用できる「セキュアデータ連携ソリューション」の提供に向けて連携する。サプライチェーンの企業間でのセキュアでスムーズなグローバルデータ連携の実現をサポートする。

» 2025年10月16日 08時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 オムロンとNTTドコモビジネスは2025年10月14日、東京都内で記者会見を開き、「Catena-X」接続に活用できる「セキュアデータ連携ソリューション」の提供に向けて両社で連携することを発表した。サプライチェーンにおける企業間のセキュアでスムーズなグローバルデータ連携実現をサポートする。

グローバルで進むデータスペース構築の動き

 欧州では、原材料や製造場所、カーボンフットプリントなど製品のライフサイクル全体にわたるデータを記録したデジタル製品パスポートが本格導入されようとしている。メーカー側としては、確実に正確な情報を開示できなければ、消費者に選ばれなくなってしまう可能性もある。そこでデータの信頼性が重要になる。

 NTTドコモビジネス ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートインダストリー推進室 担当部長の境野哲氏は「サプライチェーンにおいて、人が介在するのではなく、自動で算出した正確なデータを改ざんされない形で次のプロセスに渡し、消費者まで届ける仕組みが必要になる。それを実現する方法として、データスペースが注目されている」と語る。

 実際に、欧州では自動車産業の「Catena-X」をはじめ、半導体産業の「Semiconductor-X」や組み立て製造の「Factory-X」、製造領域横断の「Manufacturing-X」などさまざまな仕組みが構築されようとしている。日本でも、企業間のデータ連携基盤として「ウラノス・エコシステム」が構想されている。

製造業における企業間のデータ連携基盤となる「Manufacturing-X」 製造業における企業間のデータ連携基盤となる「Manufacturing-X」[クリックで拡大]出所:NTTドコモビジネス
NTTドコモビジネスの境野氏 NTTドコモビジネスの境野氏

 境野氏は「自動車のティア1サプライヤーが、Catena-Xに参画している自動車メーカーから、サプライヤーとしてデータ連携を求められているという話もある。データスペースへ接続のニーズがあるのは、まだ一部の限られた企業だが、もはや未来の話ではなく、今、つながなければならなくなっている企業が日本にもある。2026年には、その数はさらに増える」と話す。

 オムロンとNTTドコモビジネスは、2022年10月からCatena-Xなどとの接続に向けたソリューションの共同開発および実証実験に取り組んできた。「データスペースは、モノづくりとデータ活用、AI(人工知能)活用の在り方を大きく変える可能性がある。全く新しいフェーズの第一歩になる」(境野氏)。

Catena-Xのモデルを横展開することで業界横断のデータスペース構築を目指す Catena-Xのモデルを横展開することで業界横断のデータスペース構築を目指す[クリックで拡大]出所:NTTドコモビジネス

データフローコントローラでOT環境のデータを一元化

 ただし、データスペースまで届ける製造現場のデータを収集するのは容易ではない。現場には、さまざまなメーカーの新旧の設備が混在し、機器や装置ごとにデータ形式や接続方法が異なるため、そこからデータを集めるには高度な技術と労力が必要になる。

「20年、30年前から動いている設備のデータを取るためにIoT(モノのインターネット)機器を追加するのは簡単ではない。スマートフォンでも多くのアプリケーションをインストールするとバッテリーの消耗が早くなったり、反応が遅くなったりするように、センサーなどを後付けすると既存設備の生産性が低下する可能性もある」(オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 コントローラー事業部長の朴帝映氏)

オムロンの朴氏

 そこでオムロンでは「データフローコントローラ」を2025年9月に発表した。

 データフローコントローラはオムロンを含む主要メーカーのPLC(プログラマブルロジックコントローラー)/IPC(産業用コンピュータ)やロボットコントローラー、工作機械(CNC)と接続するだけで、専用のプログラムやソフトウェアを用いずにデータの収集や分析、可視化できる。このデータフローコントローラで現場の情報を一元的に集めることで、データスペースとの連携も容易になる。

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