京セラは、GaNレーザーを活用した水中光無線通信の実海域試験を実施し、最大通信速度750Mbpsを達成した。従来の音響通信では難しかった、高精細映像や大容量データの伝送が可能になる。
京セラは2025年9月18日、水中光無線通信の実海域試験を実施し、最大通信速度750Mbpsを達成したと発表した。GaNレーザーを活用したプロトタイプによる試験で、従来の音響通信では難しかった高速大容量通信を可能にした。
水中では電波が減衰しやすく、一般的な音響通信は低速のため、大容量データの送受信には課題があった。同社は光を用いる通信により減衰を抑え、Gbps級の通信技術を開発した。淡水での室内試験では最大1.8Gbpsを記録している。今回の実海域試験では、濁りや外乱光がある環境下でも安定した伝送速度を維持した。
実海域試験は2025年8月19日から21日にかけて、静岡県沼津市沖で実施され、濁度や水温などの海洋環境を測定しつつ、通信距離と速度の関係や外部光の影響を評価した。その結果、短距離ながら安定的に750Mbpsの高速通信が可能であることを確認できた。
同試験で用いた技術は、高精細映像やセンサー情報を低遅延で送信できるため、水中ドローンやAUV(自律型無人潜水機)による調査、スマート養殖、水中インフラの点検などに広く活用できる。次世代の海洋IoT(モノのインターネット)基盤として期待される。
京セラは2027年までにGbps級通信の実用化を目指し、海洋資源の活用や環境モニタリングに新たな可能性を広げる考えだ。
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