小寺 さっきもTONEBOOKをのぞいてたんですけど、キーボードで参戦される方が出てきていますよね。そういえばキーボードも確かにエフェクター通す人いるよなと気付きました。あれもやはり狙った通りのリアクションなのでしょうか。
川田氏 そうですね。早くにTONEBOOKを見つけてくれてうれしいなと思っています。
今はTONEBOOKを「ギターのレシピ」ということでプロモーションしていますが、特にギターに限るわけではありません。今後はいわゆるバンド領域全般を対象としていきます。ベース、ドラム、シンセサイザー、いろいろ他の楽器も音作りという行為がありますし、そういったものもターゲットにしたいと考えています。
また、音作りという面でいうと、別にバンドだけではないですよね。多重録音される方、DTM(DeskTop Music)をされる方、それ以外にも映画音楽や効果音などいろんな音にまつわるお仕事をされてる方や現場があります。そういったところまで広く取り扱っていきたいと思っています。
小寺 このアプリの構造ですが、レシピが投稿できるところがメインとしてあって、あとは有名なミュージシャンのレシピがインタビューも含めて聞けるところもあります。これは、SNSを志向した構成ではないという理解でよいでしょうか。
川田氏 今後いろいろアップデートを行う予定で、もう少しインタラクティブに交流できる機能を追加しようとは思っていますが、基本思想としてSNSとは違う場として位置付けています。
既存のSNSは、時系列でどんどん情報が流れていきます。皆さんが持ってるナレッジやスキルを溜めていくような場所ではないんですね。それに対してTONEBOOKは、一見SNSのような作りにはなっているんですが、実際はストックの場として作っています。皆さんの知識や経験を、レシピという形で体系的にストックしていく場所を目指しています。
それを自分の情報として振り返ることもできますし、誰かの情報を見に行くこともできます。そういう意図で作っています。
小寺 なるほど。ある意味、知識をピン止めしていくようなイメージなんですね。確かにアナログ的なツマミの角度とか、プリセットできないため忘れちゃいますもんね。
川田氏 そうなんですよ。社内的にはTONEBOOKは「音のレシピアプリですよ」と発信しています。本当に音をレシピとして保存したいというような話は、いろんな音楽活動をされる中で出てくるんですよ。
ただ今までは「一子相伝秘伝のタレ」みたいな音ができたとしても、それをストックできる場所がありませんでした。もともとこれらの知見は、皆さんが隠していたわけではなくて、公表しているものも多いのですが、その場所をしっかり作ることで共有して使っていただけるようにしたいと考えています。
小寺 現状は著名なミュージシャンもいらっしゃるものの、国内アーティスト中心ですよね。海外展開とかは考えていらっしゃいますか。
川田氏 はい。具体的には断言できないんですけども、海外進出も視野に入れています。
音は言語に依存しないので、音そのものを楽しむという行為自体、グローバルにできると考えています。私も1ユーザーとして、例えば「米国のバンドが作ってる音を知りたいな」とか、「欧州やアジアなどのさまざまな国の音楽の裏側を知りたいな」という思いも持っています。そういうことを実現できる場にしたいですね。
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