イチから全部作ってみよう(24)設計フェーズの入り口「画面設計書」は紙芝居!?山浦恒央の“くみこみ”な話(193)(3/3 ページ)

» 2025年09月18日 06時00分 公開
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4.画面設計書の例

 作成する画面ができたので、具体的な画面設計書を作りましょう。画面設計書には、以下の内容を記述します。

  • 画面の大まかな処理内容
  • 画面の遷移元/遷移先
  • 画面レイアウト
  • 表示項目

 ここでは、トップページを参考にして記述方法を示します。

4.1 トップページ画面

4.1.1 画面情報

  • 画面名:トップページ画面
  • 概要:トップページの画面で、ユーザーが商品を閲覧/表示する

4.1.2 遷移元/遷移先

  • 遷移元:サイトにアクセスした際にトップページとして表示する
  • 遷移先:商品画像をクリックすると、カート画面に遷移する

4.1.3 画面レイアウト

 画面レイアウトを下記に示す(図4)。

図4 図4 ECサイトのトップページの画面レイアウト[クリックで拡大]

4.1.4 表示項目

 表示項目を表3に示す※1)

項目名 種別 入力形式・表示 入力範囲 エラー処理
商品画像 画像 クリック - -
商品名 テキスト 表示 - -
商品価格 テキスト 表示 - -
本数 入力フォーム 数値入力 1〜100 範囲外とならないように入力を制限する
表3 表示項目

※1)一般的なECサイトでは、商品画像をクリックすると、商品詳細画面に遷移すると思います。今回は、簡易的なECサイトを例としたいため、商品画像をクリックすると、いきなりカート画面に遷移することとしました。

5.おわりに

 今回は、設計フェーズの概要と、トップページの画面設計書の作成方法について解説しました。画面設計書は、紙芝居のように処理の流れを可視化する文書です。画面を紙芝居のように説明して、発注側の要求をより引き出せるといいですね。

 画面は、ユーザーの使用しやすさに直結する重要な機能です。おそらく、細かい注文を多く受けることになるでしょうが、フィードバックを取り入れ、ユーザーにとって「手触りがよく、使いやすい」ソフトウェアを目指しましょう。(次回に続く)

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【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

人間環境大学 環境情報学科 教授(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科准教授、2016年より非常勤講師。2025年4月より、人間環境大学環境情報学科教授。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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