NECは「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」において、共同輸配送候補を自動提案するクラウド型マッチングサービス「共同輸配送プラットフォーム」を出展した。
NECは「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」(2025年9月10〜12日、東京ビッグサイト)において、企業間の最適な共同輸配送候補を自動提案するクラウド型マッチングサービス「共同輸配送プラットフォーム」を出展した。
共同輸配送プラットフォームはNECが2024年10月より本格運用を開始したサービスだ。「物流の2024年問題」などを背景に物流の効率化が求められる中、共同輸配送を検討する企業の増加に対応する形で開発に着手した。
共同輸配送の相手を探す際、同業種や既知の企業に限定すると、物量の波動(季節要因などによる物流量の変動)が似通ったり、検討範囲が狭まったりする課題がある。NECはこの問題を解決するため、複数企業が連携する「N対N」の関係を実現するプラットフォームの開発に着手した。そして、2023年9月〜2024年3月に約10社が参加する運用実証を行い、その結果400以上のルートが実現可能性として算出されるなどの成果が得られた。
共同輸配送プラットフォームは、「グルーピング」「プランニング」「オペレーション」の3ステップで構成されている。展示ブースでは、実際にマッチング成立までの3ステップの流れを実演した。
マッチング成立までの流れは以下の通り。
ステップ1のグルーピングでは、利用企業が発着地のエリアや荷物品目、車格、温度帯などの基本情報をプラットフォーム上に入力する。初期段階では市区町村レベルの簡易的な情報で十分であり、共同輸配送に適した相手を見つけることが目的となる。
ステップ2のプランニングは2025年6月にリリースされた新機能だ。ここで登録した自社ルート一覧から、共同輸配送を希望するルートを選択し、「プランニング設定」ページに遷移すると、エリアや片道/往復の条件に基づいた共同輸配送候補が一覧表示される。この時点では企業名は匿名であり、荷物の詳細も伏せられている。
さらに条件を絞りたい場合は、拠点間の距離や配送の受託/委託の有無の有無などを設定して検索することが可能である。希望する企業が見つかればリクエストを申請し、相手企業の許可が得られればマッチングが成立し、両社で実施に向けた協議に入る。
最終段階となるステップ3のオペレーションでは、登録済みの運行ルートから自動で仮の共同輸配送ルートが作成される。これを基に発着時間や顧客納品の有無など最終条件を確定し、両社の合意をもって実運用に進む。
従来の共同輸配送マッチングプラットフォームでは、マッチングまでの機能に留まり、その後のやりとりは企業間に委ねられることが多かった。「共同輸配送プラットフォームは用語や項目をある程度統一し、運行計画の選定から確定までを一気通貫で行えるため、初対面の企業同士でもスムーズに話が進む」(NECの説明員)
展示会では、共同輸配送プラットフォームを活用したユースケースも紹介された。
工業計器やプロセス制御システムを手がける横河電機と、三井倉庫サプライチェーンソリューション(三井倉庫SCS)は、同プラットフォームを通じてマッチングし、2025年1〜2月にトライアル運行を実施し、同年4月より共同配送の運用を開始した。両社は、日によって物量が安定しないことや、扱う製品が少ないことによる積載率の低さに課題を抱えていた。そこで、横河電機の武蔵野市本社またはあきる野市の工場から三井倉庫SCSの平和島拠点へ製品を出荷し、同拠点で大型トレーラーに混載して名古屋まで幹線輸送。その後、名古屋の拠点で荷物を仕分けし、各配送先へ届ける仕組みを構築した。
プランニングの段階で、関東および東海エリア内の配送は、両社いずれの手配する車両でも対応可能な仕様とし、荷物状況に応じて柔軟に対応できるようにしてオペレーションの固定化を避け、成立率を高めた。結果として、横河電機では積載率が20〜30%向上し、三井倉庫SCSでも積載率の向上と収益改善につながった。展示ブースでは、三井倉庫SCSの平和島拠点で撮影された両社のコメント映像も放映された。
共同輸配送プラットフォームの利用料金は、参加登録費、月額使用費、成立時の従量課金で構成されている。「2025年中に参画企業を30社、2026年には70社への拡大を目指す。企業数を増やすことで実現可能性のあるルートを増やし、さらに共同輸配送事例を広げていきたい」(同説明員)。今後はプラットフォーム上のチャット機能改善など、さらなる機能拡充を目指す方針である。
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