半導体デバイス微細化で新たな電子ビーム方式に需要、量産などで資本業務提携FAニュース

芝浦メカトロニクスとPhoto electron Soulは、半導体フォトカソード型電子ビーム生成システムの量産およびメンテナンスに関する資本業務提携で合意した。半導体デバイスの微細化、積層化に伴い高精度な電子ビーム方式の検査需要が高まっており、供給体制を強化する。

» 2025年09月02日 08時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 芝浦メカトロニクスとPhoto electron Soulは2025年8月28日、Photo electron Soulが開発する「半導体フォトカソード型電子ビーム生成システム」の量産、メンテナンスに関する資本業務提携について合意したと発表した。なお、提携対象となる具体的な装置名などは非開示となっている。

微細化と積層化の進展で高精度な検査が必要に、電子ビーム方式に期待

Photo electron Soulの半導体ウエハー検査装置 Photo electron Soulの半導体ウエハー検査装置 出所:Photo electron Soul

 半導体デバイスの欠陥や構造などの検査、解析は、迅速な歩留まり向上のために必要不可欠となっている。検査には、光学方式と電子ビーム方式がある中で、半導体デバイスの微細化と積層化の進展に伴い、電子ビーム方式へのニーズが高まっている。光学方式ではnm単位の微細な欠陥や構造の検出や解析が難しいからだ。 

 Photo electron Soulによれば、同社は工業用途の電子ビーム生成源としては約半世紀ぶりの新方式となる半導体フォトカソード型電子ビーム生成システムの唯一の供給企業という。半導体フォトカソード型電子ビーム生成システムは、ビーム軸はそのままで瞬時に強弱を制御して電子ビームを検査、解析対象に照射でき、非破壊による高アスペクト比構造の底部の欠陥や構造、非接触による微笑トランジスタの電気的特性の検査、解析が可能になる。半導体デバイスメーカーや装置メーカーからの引き合いが増加しており、量産体制の強化が必要になっていた。

 芝浦エレクトロニクスでは、半導体製造装置やFPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置、真空応用装置などを製造している。事業ポートフォリオの軸を半導体分野とし、半導体前工程/後工程装置、特に先端向け装置の開発、製造、販売ならびに保守サービス事業のさらなる拡大を目指している。

 今回、量産供給体制の強化を図るPhoto electron Soulと、半導体製造装置に関する技術、知見を持つ芝浦メカトロニクスの事業シナジーが見込まれることなどから、Photo electron Soulは芝浦メカトロニクスから出資を受け、両社は製造およびメンテナンスにおいて協業することになった。

 資本提携に関しては、Photo electron Soulが新たに調達を予定している10億円の一部を芝浦メカトロニクスが引き受ける。業務提携の具体的な方法、内容は今後協議を進めるとしている。

⇒その他の「FAニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.