ルネサスエレクトロニクスは、32ビットRAファミリーを拡充し、スマートメーター向けマイコン「RA4C1」を発売、量産を開始した。80MHz動作のArm Cortex-M33を採用し、低消費電力。最低1.6Vで動作する。
ルネサスエレクトロニクスは2025年8月21日、同社のArmマイコン「RAファミリー」を拡充し、スマートメーター向けマイコン「RA4C1」の販売と量産を開始したと発表した。
同製品は、80MHz動作のArm Cortex-M33を採用し、アクティブ電流は168μA/MHz、SRAM保持スタンバイ電流は1.79μA未満と低消費電力を達成している。RTC専用の電源ドメインを搭載し、時刻保持用のバッテリーバックアップにも容易に対応できる。最低1.6Vで動作し、小型バッテリーの採用や駆動時間の延長に配慮した。
セキュリティは、同社のセキュリティエンジン「RSIP」を搭載。ハードウェアユニークキー、TRNG、鍵管理(ラップドキー生成を含む)、SHA、AES、ECC(最大384ビット、NIST/Brainpool曲線準拠)に対応する。PSA Certified Level 1を取得し、欧州CRA対応要件も備える。
メモリは、256K〜512KBのデュアルバンクフラッシュメモリ、96KBのSRAM、8KBのデータフラッシュメモリを搭載。周辺機能として、CAN FD、LPUART、SCI、SPI、QSPI、I2C、A/Dコンバーター、温度センサー、低消費電力タイマー、セグメントLCDコントローラーを内蔵する。パッケージは、64ピンLQFP(10×10mm)、100ピンLQFP(14×14mm)を用意している。
同社のFSP(Flexible Software Package)を利用でき、RTOSやBSP、周辺ドライバー、ミドルウェア、ネットワーク、セキュリティスタック、AI(人工知能)、モーター制御、クラウドソリューション向けのソフトウェアが使える。独自のコードや任意のRTOSと統合でき、他のRAデバイスへの移行も容易とする。
主な用途は、電気やガス、水道、産業用流量計などのメーター全般を想定。特に、中国の大規模な電力メーターシステムのニーズに対応する。スマートロック、サーモスタット、ビル制御、産業機器のUIなどにも適用できる。
同社はRA4C1と自社部品を組み合わせた「ウィニング・コンビネーション」を提案し、スマート単相電力メーターの設計リスク低減と市場投入期間短縮を狙う。
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