Cpは、単に数式で求められる値にとどまらず、その大きさによって工程の安定性を判断することができます。では、具体的にどのような意味を持つのでしょうか。
例えば、Cp=1.33の場合、約±4σの範囲が規格内に収まります。このときの不良率はおよそ0.0063%と非常に低く、量産においても安心できる水準といえます。
このように、Cpの値は工程の安定性や不良率の大きさを判断する基準になります。では、現場ではCpの値をどのように目安として考えているのでしょうか。以下に代表的なイメージを示します。
筆者は装置設備産業での経験が長いのですが、この工程能力指数(CpやCpk)は、製品品質の評価だけでなく、個々の設備性能を測る指標としても活用されています。
では、丸棒がパイプの穴に挿入できない確率を実際に求めてみましょう。
パイプの内径と丸棒の外径は片側公差で与えられているため、まずは「中央値化」を行います。中央値化とは、片側公差を両側公差に変換して表現する方法です。
ここで、パイプと丸棒はいずれもCp=1で管理されていると仮定します。
この条件から、それぞれの寸法は以下のように正規分布で表されます。
次に、パイプの内径と丸棒の外径の隙間を考えます。平均値の差を計算すると、8.075−7.925=0.15となり、これを隙間の平均値μ=0.15とします。では、この隙間の分布はどのようになるでしょうか。ここで重要になるのが「分散の加法性」です。
分散とは、バラつきの大きさを数値で表したものです。値が大きければバラつきも大きく、値が小さければバラつきも小さいことを意味します。
今回の例のように、パイプの穴径にもバラつきがあり、丸棒の外径にもバラつきがある場合、この2つを組み合わせたときの「隙間のバラつき」は、それぞれのバラつきが合わさって大きくなります。このときに成り立つのが分散の加法性であり、“分散はそのまま足し算できる”という性質を持っています。
パイプのバラつきをσa2、丸棒のバラつきをσb2とすると、全体のバラつき(隙間の分散)σc2は、σc2=σa2+σb2のように計算されます。
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