逆起電流による悪影響を防ぐためには、以下のような対策が用いられます。
コイルと並列にダイオードを接続します。ダイオードは電流を一方向にしか流さない性質を持つため、電流が遮断された際に発生する逆起電流をダイオードを通してコイル自身に戻すことで、電圧の上昇を抑えます。
誘導負荷(モーター、リレーのコイルなど)を駆動するスイッチング素子(トランジスタ、MOSFETなど)と並列に接続することが一般的です。
過電圧が発生した際に、その電圧を吸収したり、クランプ(一定の電圧に制限)したりする素子を使用します。
バリスタは、ある電圧を超えると抵抗値が急激に下がり、過電流を流して電圧を抑制します。
ツェナーダイオードは、逆方向に特定の電圧以上になると電流が流れ出す性質を利用して、電圧を一定に保ちます。
抵抗(R)とコンデンサー(C)を直列に接続し、スイッチや誘導負荷と並列に接続します。
電流遮断時に発生する急峻(きゅうしゅん)な電圧変化をコンデンサーが吸収し、抵抗がその放電電流を制限することで、ノイズの低減やスイッチング素子の保護に役立ちます。
チョッパー回路は先ほどの逆起電流を積極的に利用して高電圧を生成します。
図4はチョッパー回路の典型的な例です。
コイルとスイッチング素子であるトランジスタ、整流素子であるダイオードと、出力段には波形を落ち着けるためのコンデンサーと抵抗が並列に入っています。
トランジスタのINに電流を供給すると、トランジスタはオン状態になるのでVCCからの電流はコイルLを通って短絡します。この時点でコイルLにはパワーが蓄えられます。その後トランジスタをオフにした時点で高電圧が生成し、ダイオードを通って整流され、RCで波形整形された後に直流の高電圧がOUTから取り出せます。
コンデンサーとコイルが電気回路の中に加わると回路の挙動は複素数が含まれる計算が必要になりますが、そのあたりの数式を使って説明した解説書や情報は多数あります。本連載では後日、数式を使わないでコイルとコンデンサーが織り成すイリュージョンを説明できればと考えています。
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