日本電信電話は、深層学習における数値予測モデルで、学習時と異なる運用環境下でも自律的に適応可能なAIアルゴリズム「テスト時適応技術」を開発した。
日本電信電話(NTT)は2025年3月18日、深層学習における数値予測モデル(回帰モデル)で、学習時と異なる運用環境下でも自律的に適応可能なAI(人工知能)アルゴリズム「テスト時適応技術」を開発したと発表した。
従来の深層学習では、実際にモデルを使用する運用環境が時間とともにモデルの学習環境と異なってしまい、精度が低下する課題があった。同研究では、運用環境における教師なしデータのみを用いてモデルを自律的に適応させることで精度を維持する。この手法により、学習段階で運用環境のデータを入手したり、モデルを追加学習させたりといった対応を不要とし、コスト削減しつつAIモデルの性能向上が期待できる。
NTTの研究では、回帰モデルにおける特徴ベクトルの分布が高次元空間のごく一部に集中している特性に着目し、未知の運用環境の特徴分布を学習環境の特徴分布に整合させる手法を提案した。また、特徴ベクトルが集中している部分空間の分布を優先的に整合させ、回帰モデルにおける適応性能が大きく向上することを実験的に示した。年齢推定や姿勢推定といったベンチマークにおいても安定して精度が向上し、教師あり再学習に近い性能を達成したケースも見られた。
同技術はモデルの出力形式に依存しないため、さまざまな事業分野でのデータ分析AIに組み込むことで環境変化に対する精度低下を防ぎ、MLOpsのコスト削減が期待される。
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