Armv9アーキテクチャはセキュリティ機能を強化している他、ベクター演算処理機能としてスーパーコンピュータ「富岳」と同じ「SVE2」を採用している。Cortex-M85の「Helium」よりもSVE2は行列演算の幅が広いのでCPU側でのAI関連の処理性能も向上できる。
新たなエッジAIプラットフォームではCoretx-A320は4コアまで利用でき、これに1個のEthos-U85を組み合わせることになる。AI処理性能としてはEthos-U85の4TOPSに、SVE2などを含めたCPUのCoretx-A320の処理性能が加わる。中島氏は「CPU単体のAI処理性能はフルフルでも数TOPS出せるかどうかであり、基本的にはアプリケーション制御や浮動小数点への対応、前処理などに利用することが前提になる」と述べる。
Cortex-A320は、同じArmv9アーキテクチャを採用するCoretx-A720やCortex-A520、「Cortex-X925」と互換性があり、ソフトウェアの再利用性に優れている。Cortex-A320では、他のCortex-Aシリーズでも行われているように、Linux/Android向けのドライバも提供される。ただし、リアルタイムOSへの対応は従来通りポーティングが必要だ。
またArmは、CPU上でのAIアプリケーションの処理を最適化するライブラリとして「Arm KleidiAI」を展開しており、Cortex-A320はこれも活用できる。中島氏は「Arm KleidiAIにライブラリを入れ替えるだけでAI処理性能が70%向上した事例もある。エッジ機器向けでもぜひ活用してほしい」と強調する。
Cortex-A320については、同じCortex-AシリーズであるCortex-A53やCortex-A35からに加え、ハイエンドのマイコン向けプロセッサコアであるCortex-M85からのアップグレードも想定しており、そのためのアップグレードパスを設定している。
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