OKIエンジニアリングは「成層圏稼働機器・部品・材料向け200ppm高濃度オゾン試験サービス」の提供を2025年2月27日に開始した。
OKIグループで信頼性評価と環境保全の技術サービスを展開するOKIエンジニアリングは2025年2月26日、「成層圏稼働機器・部品・材料向け200ppm高濃度オゾン試験サービス」の提供を同月27日に開始すると発表した。
成層圏稼働機器・部品・材料向け200ppm高濃度オゾン試験サービスでは、成層圏で使用されるゴムや樹脂などを対象に、高濃度オゾン環境での加速試験サービスを各種環境試験も含めワンストップで提供する。これにより成層圏通信プラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」や宇宙旅行用気球などの技術開発における期間短縮と高度化を支援し、同サービスで2026年度に1億円の売上高を目指す。同サービスの標準価格は個別見積もりとなる。
加速試験とは、試験品を実際の使用環境よりも過酷な条件(例:高温、高湿、高電圧など)下に置き、意図的に劣化を促進させることで、製品の寿命を検証する試験を指す。
成層圏稼働機器・部品・材料向け200ppm高濃度オゾン試験サービスでは、特注の大型オゾン試験機(1000x1000x1000mm、床耐荷重50kgの試験槽)を用い、成層圏の濃度に相当する高濃度オゾン環境下での試験に対応している。この大型試験機では、部品や材料だけでなく、ユニットなどの機器全体を対象とした試験が可能だ。また、成層圏オゾン濃度の25~100倍に当たる最大200ppmの高濃度オゾン環境で加速試験を行うことで、通常の試験期間を25~100分の1に短縮できる。さらに、成層圏での評価が必要とされる耐候性試験、熱サイクル試験、振動試験、減圧試験にもワンストップで対応している。
同サービスでは、オゾン、温度、気圧による劣化状況の確認、走査型電子顕微鏡を用いた亀裂やひび割れの拡大観察にも応じる。試験後には、構造や組成の変化を詳細に評価/解析し、材料や構造に関する改善提案も実施する。これらの取り組みを通じ、同社は成層圏で稼働する機器、部品、材料の開発において期間短縮と高度化への貢献を目指す。
成層圏は、一年を通じて比較的に風が穏やかで、安定した飛行が可能だ。さらに、宇宙の衛星に比べ地上との距離が近いため、低遅延なモバイルダイレクト通信が行える。この特性を生かして、HAPSで活用されている他、宇宙旅行や観測気球などの活動場所としても注目されている。特に宇宙旅行は、世界市場で力強い成長が見込まれ、成層圏で稼働する機器の開発競争が加速している。
一方、成層圏には、地表の100倍に当たる濃度(2~8ppm)のオゾン層が存在する。このオゾン層は宇宙空間には存在しない。オゾンは無色の気体で、強力な酸化作用を持つため、屋外で使用されるゴム、プラスチック、塗料、繊維などに亀裂やひび割れを発生させる要因の1つとされている。そのため、成層圏で稼働する機器は、宇宙や地上とは異なる高濃度オゾン環境下での耐性評価や解析を通じた信頼性確保が重要となる。
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