図3はAC100Vの商用電源の波形です。
商用電源の波形は正弦波ということになっています。図3の波形は手書きで書いているので少しいびつなところもありますが、正弦波と思ってここからの話を聞いてください。
縦軸が電圧で単位はVです。横軸は時間を表しています。例えば50Hz地域では0πから1/2πまでが5msとなります。これが立ち上がり時間ということになります。一方、フォトカプラのLEDの上昇応答時間は2μsです。AC電源の立ち上がり時間の5msをμsで表すと5000μsですから、十分追随できることが分かりますね。
今度は商用電源の立ち下がり時間を見てみましょう。下降区間は1/2πから1πまでですから、その間隔は1/2π時間であり、これも5msとなります。フォトカプラのLEDの下降応答時間は25μsですので、これも十分追随可能ということが分かります。
1πから2πまで10msの時間がかかりますが、LEDは順方向電位でのみ発光するので、この間、LEDは消灯状態になっています。
図4はACプローブの実験回路図です。
【追記】フォトカプラのLEDについてはLEDと並列に逆向きに保護ダイオードを入れた方がより適切でしょう。これはLEDに逆電圧がかからないようにするためです。
電気プラグは、AC100Vの商用電源として一般的に用いられている、いわゆるコンセントに刺す部品ですね。図を描く際の都合でこんな形になってしまいました。まずは、抵抗R1の適切な抵抗値を求めてみましょう。
以下に挙げるのは、フォトカプラ内の発光ダイオードのスペックです。
R1は以下の式で求めることができます。
(電源電圧-順方向電圧)÷順方向電流
2m~3mAの順方向電流を流せば発光ダイオードは十分点灯するので、今回のR1の値は47KΩとしました。
図5は、電気プラグ内に先述の回路を組み込んだ上で、筐体を開けて内部が見えるようにしたものです。
プラグのコードの出口のところにあるのがフォトカプラです。本来は白色の部品なのですが、電気プラグの筐体を閉じたときに、フォトカプラが筐体に圧迫されることでいい具合で固定されるように、黒のビニールテープを巻いて高さを調整しました。フォトカプラの右側にある2本の端子(発光ダイオード側)は、今回の用途では特に極性を気にする必要がないので、どちらかに抵抗R1を介してプラグに接続します。もう一方の端子は直接プラグのもう一方に接続します。
そして、フォトカプラの左側にある2本の端子はフォトトランジスタ側です。こちらは極性があって上に見える端子がエミッターで下の端子がコレクターになります。この先につなぐ機器に対しては極性がありますので、見分けやすいように色の異なる電線をつないでください。ちなみに筆者は、よくRJ-45などで使われているUTPケーブルをよく使います。UTPケーブルの青色ケーブルは一般的にネガティブを表すので、今回の場合はグランド、フォトカプラ内蔵のフォトトランジスタで言えばエミッター側に接続します。一方、UTPケーブルのストライプケーブルはポジティブを表すので、フォトトランジスタのコレクター側に接続します。
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