CADDIE、CADU、SMARTIBDの特徴の一つがクラウドベースのAI技術であることだ。マウントニー氏は「AI技術やその計算処理を行うGPUなどの基盤技術は日進月歩で進化している。これらの成果をタイムリーに取り込んでいくためには、クラウドベースでAI技術を提供していくべきだと考えている。病院側に設置しているハードウェアだけでは計算処理能力は限られており、先進的なAI技術を素早く導入することが難しくなってしまう」と強調する。
なお、Odin VisionのクラウドAI技術は、内視鏡検査の画像データを暗号化してクラウドにアップロードしてからAI処理を行い、専用の通信パイプラインを使ってほぼリアルタイムに近い応答性で処理結果を確認することができるようになっている。
クラウドを活用する理由は先進的なAI技術への対応だけにとどまらない。AIを活用した臨床ソリューションは、CADDIE、CADU、SMARTIBDの機能と対応する、早期発見に役立つCADe(コンピュータ検出支援)や特性評価/診断と病期分類などが可能なCADx(コンピュータ診断支援)だけでなく、医師による検査のミスを低減し品質を向上するCAQ(コンピュータ品質管理支援)や、適切な治療アプローチの選択や治療中のナビゲーションをサポートするコンピュータ治療支援、検査後/処置後のレポートの自動作成、検査や治療全体に事後分析など多岐にわたる。
マウントニー氏は「クラウドを活用してデータを統合し、各臨床プロセスで最適なAIを適用することで、検査や治療の品質を飛躍的に高められるとともに、医師の作業効率を大幅に向上できる」と訴える。
オリンパスとOdin Visionは、データとAIの活用によりアウトカム(臨床効果)と効率性の向上を目指すプラットフォームとして「インテリジェント内視鏡医療エコシステム」の導入を目指している。Odin Visionのホームグラウンドともいえる欧州において、医療従事者向けの説明会を積み重ねてきた。
マウントニー氏は「欧米の医療業界ではクラウドベースの医療システムの受け入れが進んでいる。国や地域、病院ごとに濃淡はあるものの、将来的に医療ソフトウェアの多くがクラウドを活用することになるだろう。インテリジェント内視鏡医療エコシステムは、将来の胃腸科で中核的な役割を果たすと考えており、最終的には財務管理などにも貢献することを見込んでいる。オリンパスとOdin Visionが一体となって、10年、20年にわたって使えるものにして、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を可能にしていきたい」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.