産業技術総合研究所は、データを秘匿しながらベイズ最適化の計算ができる技術を開発し、アプリに実装した。取得したデータを分割、分散させて保管し、データを復元することなく計算に利用できる。
産業技術総合研究所は2024年12月24日、データを秘匿しながらベイズ最適化の計算ができる技術を開発し、アプリに実装したと発表した。今後、アプリの高速化やより高い安全性でデータを取り扱うシステムの構築に取り組む。
今回開発した技術では、情報漏洩のリスクが低い秘密分散技術と、データを無意味化して計算する秘匿計算技術を併用している。秘密分散は取得したデータを読み取れないように分割分散させて保管を行い、秘匿計算は途中でデータを復元せず計算の指令に従って、結果のみ伝えられる。
磁石化合物の化学組成の最適化にこの技術を適用したところ、データを秘匿しない場合に比べ計算速度は遅いものの、5分程度で1つの候補を探索できた。また、10回未満の探索で有力な候補を示すことが可能で、データを秘匿しない計算手法と同等の90%の確率で探索に成功した。
磁化が低い材料データも探索範囲を狭める効果を発揮し、ネガティブデータの共用により探索回数を減らせることも判明した。
ML(機械学習)などの技術を用いて、高速かつ効率的に材料開発を進めるには、膨大なデータが必要だ。秘匿化によりデータ所有者の権利が守られ、データの共有が進むことが期待される。
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