ADEKAは、開発中の次世代二次電池向け正極材「SPAN(スパン)」と樹脂箔から構成される正極を用いた軽量二次電池「軽量Li-SPAN/樹脂箔パウチセル」の試作に、うるたまとともに世界で初めて成功した。
ADEKAは2024年11月20日、開発中の次世代二次電池向け正極材「SPAN(スパン)」と樹脂箔から構成される正極を用いた軽量二次電池「軽量Li-SPAN/樹脂箔パウチセル」の試作に、うるたまとともに世界で初めて成功した(ADEKA調べ)と発表した。
試作品の充放電および安全性(クギ刺し)試験で、重量エネルギー密度500Wh/kg以上と未発火を達成し、樹脂箔を用いた中で世界最軽量かつ発火安全性に優れる二次電池の実証にも成功している(ADEKA調べ)。
現在、自動車や飛行体、モバイル機器などに搭載されるリチウムイオン二次電池(LIB)は、その重さや寿命、安全性が課題となっており、解決策となる次世代二次電池の研究開発が進められている。中でも、リチウム−硫黄二次電池は、正極にレアメタルを使用せず硫黄を使用することから、サステナブルで軽い電池として、その研究開発の動向が注視されている。
軽量Li-SPAN/樹脂箔パウチセルは、重量エネルギー密度は最大で552Wh/kgに達し、現行LIBの値を上回った。さらに、満充電状態の試作セル(500Wh/kg級)に鉄クギを刺しても発煙/発火が起こらないことを実証。実証は、ソフトバンク、KISCO、産業技術総合研究所(産総研)の協力を得て実施した。
今回の成果に関して、ADEKAは、リチウム-硫黄二次電池の「軽い」という強みはそのままに、さらなる「軽量化」「安全性」「実用性(プロセス性)」を兼ね備えた次世代二次電池の実用化に進展をもたらすものと考えている。加えて、ドローンやHAPS(成層圏通信プラットフォーム)、eVTOL(電動垂直離着陸機)などの飛行体分野への適用が期待される。
ADEKAでは現在、次世代二次電池向け正極活物質であるSPANの量産化を相馬工場(福島県相馬市)で進めており、世界に先駆けて、年間100kg以上の合成に成功。2026年度には年間数トンレベルへのスケールアップを目標としている。
今後も、SPANの製造とこれを用いたさまざまなセルの試作、実証、提案を通じて、リチウム-硫黄二次電池の実用化に貢献するとともに、電池材料分野の早期事業化を目指していく。
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