JEITAは電子情報産業の2025年の世界生産見通しも発表した。2025年の世界生産は前年比8%増の3兆9909億ドルで、過去最高の世界生産をさらに更新すると見込んでいる。
2024年の電子情報産業の世界生産額は、前年比9%増の3兆7032億ドルと予測されている。地政学リスクによる燃料や原材料の価格高騰、個人消費の低迷、中国の景気減速など景況感は良好とは言えなかったが、コロナ特需の反動減が現れていた電子機器や電子部品がプラスに転じた。デジタル化の進展でソリューションサービスが勢いを増したこともプラス成長に寄与した。2025年はデジタル投資が継続すると見込む。企業や産業、社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、ソリューションサービスの需要が拡大。AI向けのサーバ用半導体なども伸長する。
電子情報産業における日系企業の2024年の世界生産額は、前年比6%増の41兆1813億円となる見通し(このうち国内生産額は前年比6%増の11兆2984億円)。円安によって電子部品やデバイスを中心に回復した他、価格競争力の高い高機能のデジタルカメラやプリンタ、電気計測器などが安定的に推移した。
2025年は、DXの取り組みが堅調に推移することによるソリューションサービスの需要拡大、AIの普及や自動車の電装化などによる電子部品やデバイスの売り上げ増などを背景に、日系企業の世界生産額は前年比4%増の42兆8613億円、このうち国内生産額が前年比3%増の11兆6463億円を見込んでいる。
2025年4月に向けて、政府はイノベーション拠点税制の施行に向けた準備を進めている。研究開発拠点としての日本の立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しすることを目的として、特許権やAI関連のプログラムの著作権から生じるライセンスなどの所得に対して30パーセントを所得控除する制度だ。JEITAは今後もAIやソフトウェアの活用を促進する制度改善に向けた提言を続けていくとしている。
JEITAでは政府が発表したAI事業者ガイドラインに対して各社の対応状況を把握し、共通課題やベストプラクティスを盛り込んだ業界団体ポリシーの策定に取り組んでいる。このブラッシュアップと普及のため、2025年度上期にはAIに関する組織を設置する。
この他、JEITAが事務局を務めるグリーン×デジタルコンソーシアムでは、物流CO2可視化に向けたガイドラインを作成した。物流現場のプロセス別にCO2排出量を算定して共有する指針と位置付けている。今後、物流データの標準化や利活用など物流DXの活性化に向けて、物流関連団体と積極的に連携していく考えだ。
また、スマートホームやIoT(モノのインターネット)家電を高齢者の見守りだけでなく防災DXにも活用できるよう、地震の前から協力していた石川県の広域データ連携基盤との接続を進めていく。
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