クラウドCAEの登場により、高価なハードウェアを準備することなく、導入コストを抑えてCAEを利用できるようになっています。クラウドCAEでは、インターネットに接続できる環境があれば、どこからでもアクセスし、必要なときに、必要なだけCAEを利用できます。
代表的なものとして、「サイバネットCAEクラウド」や「SimScale」「Autodesk Fusion」などがあります。
CAEにもAIの技術が搭載されはじめています。活用効果として、1.シミュレーションの精度向上、2.解析結果からの最適化、3.設計プロセスの効率化などが挙げられます。順番に見ていきましょう。
AIが過去のデータを分析し、設計や製造プロセスにおける最適な設定を提案してくれます。CAEのシミュレーションプロセスにおける多くの手動作業を自動化することが可能になってきています。特に、パラメーター調整や条件設定の自動化は、エンジニアの負担を軽減し、迅速なシミュレーションを可能にしてくれます。
AIがシミュレーション結果を解析し、最適な設計改善案を提示してくれます。例えば、AIは過去のデータを駆使して、設計の問題点や改善点を特定し、修正案を提案してくれます。これにより、設計の精度や効率が向上し、製品開発プロセスをより迅速かつ効果的に進められます。
ジェネレーティブデザインやトポロジー最適化などの構造最適化により、複数の設計条件を基に最適な設計案を自動生成してくれます。これにより、従来の手法では考えられなかった革新的なデザインが実現し、製品の性能向上につなげることができます。
MONOist編集部が実施したアンケート調査「『設計・解析業務におけるAI活用』に関する実態調査 2024」の「設計・解析業務におけるAI技術活用の興味・関心度合い」についての設問では、「大変興味がある」が37.6%、「やや興味がある」が40.7%とAI活用に対する関心の高さが浮き彫りとなりました。また、「設計・解析業務におけるAI技術の活用の方向性・期待」についての設問では、「設計作業の支援/アシスト」が最多で、次点には「設計上のミスの軽減」「解析時間の短縮」が挙げられていました。
⇒「設計・解析業務におけるAI活用」に関する実態調査レポート【2024年版】
その他にも、MONOistではCAEとAIの記事が多く紹介されています。特に最近では、AIが高速/高精度に解析結果を“予測”する、サロゲートモデル(CAE代理モデル)に関する話題が目立ちます。以下、筆者が注目したCAE×AI関連ニュースを簡単に紹介します。
トヨタシステムズとトヨタ車体は、高速AI予測システム「3D-OWL」を用いてミニバン車両の空力性能予測を行っています。
また、スズキは自動車設計における空力開発の効率化を目指し、RICOSのAI-CAEソリューション「RICOS Lightning」の導入に向けた検証を進めています。
セイコーエプソンは、ギリアが独自開発したAI(人工知能)を活用することで合意し、製品設計の期間短縮に向けた実践的な検証を開始したことを発表しています。
CAEツールベンダーのAnsysは、AIを活用したバーチャルアシスタント「AnsysGPT」を発表し、ユーザーの質問に迅速に回答する機能を提供しています。
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