旭化成の素材/化学の無形資産戦略、技術やノウハウのマネタイズ手法とは?製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

旭化成は、無形資産戦略説明会を開き、2022〜2024年度の3カ年を対象とした「中期経営計画(中計)2024〜Be a Trailblazer〜」の進捗とマテリアル領域における無形資産戦略を紹介した。

» 2024年12月16日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 旭化成は2024年12月13日、東京都内とオンラインで無形資産戦略説明会を開き、2022〜2024年度の3カ年を対象とした「中期経営計画(中計)2024〜Be a Trailblazer〜」の進捗とマテリアル領域における無形資産戦略を紹介した。

デジタルプロフェッショナル人財数の目標値は2024年度に2500人

 中計2024では「事業ポートフォリオ改革」と「経営基盤強化」を推進している。中計2024のスタートは厳しい経営環境の変化の影響を受けたが、2024年度は業績改善に向かっている。同年度の営業利益は1950億円で、営業利益率は6.3%になると予想している。

中計2024の業績予測 中計2024の業績予測[クリックで拡大] 出所:旭化成

 中計2024の事業ポートフォリオ改革では、中計期間での効果創出を狙った構造転換として、マテリアル領域において三井化学とスパンボンドの共同事業会社を設立した他、ペリクル(フォトマスクの表面に装着する薄い保護膜)の事業と旭化成パックスの事業を譲渡した。

 石油化学チェーン関連事業の構造転換として、旭化成、三菱ケミカル、三井化学との3社連携で、共同事業体の設立を前提に、西日本における製造設備のグリーン化と将来の能力削減も含めた生産体制の最適化も検討している。さらに、2024年11月15日にはタイの持分法適用関連会社であるPTT AsahiChemicalにおけるアクリロニトリル事業などの撤退方針も決めた。

 成長投資としてマテリアル領域では、半導体保護膜や層間絶縁膜「パイメル」の生産能力増強の他、車載リチウムイオン電池(LIB)用セパレーターの生産能力を強化するために北米の一貫工場や米国/日本における塗工設備の増強を決定した。さらに、マテリアル領域、ヘルスケア領域、住宅領域(以下、3領域)の成長けん引事業(GG10)に対して2022〜2024年の累計で約7000億円の投資を行い成長を加速させている。

中計2024の事業のポートフォリオ改革 中計2024の事業ポートフォリオ改革[クリックで拡大] 出所:旭化成

 中計2024は、3領域における無形資産として、「多様な事業に関わる意欲的な人財」「幅広い領域での技術・知財・ノウハウ」「共創と変革を加速するデジタル基盤」を据えた。

 「多様な事業に関わる意欲的な人財」では「挑戦・成長を促す『終身成長』」と「多様性を促す『共創力』」を方針に従業員のWell-beingや働きがい、旭化成グループの競争力を高めている。2024年度の主要非財務KPI(重要業績評価指標)として高度専門職人数の目標値を360人としている。

 「幅広い領域での技術・知財・ノウハウ」では「製品やサービスに加え、ノウハウ、パテント、データ、アルゴリズムの活用」を方針に、有形資産と無形資産の融合による新たな価値創造を推進。主要非財務KPIとして旭化成全体における有効特許件数でGG10関連の有効特許件数の割合を2030年度までに50%にすることを目標に掲げている。

 「共創と変革を加速するデジタル基盤」では「デジタルトランスフォーメーション(DX) 全員参加×現場主義×共創」を方針に各事業で業務革新/ビジネスモデルの創出を推進。2024年度の主要非財務KPIでデジタルプロフェッショナル人財数の目標値として2500人を掲げている。

 3領域では無形資産を活用したソリューション型事業とライセンス型事業の展開を進めている。

中計2024の事業における無形資産の最大活用 中計2024の事業における無形資産の最大活用[クリックで拡大] 出所:旭化成
無形資産が価値の中心となるビジネスモデル 無形資産が価値の中心となるビジネスモデル[クリックで拡大] 出所:旭化成
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