EYは、電気自動車などモビリティの購買動向に関する調査を実施し「EY Global Mobility Consumer Index」を発表した。世界で電気自動車の需要増加は頭打ちとなっている。
EYは2024年11月28日、電気自動車(EV)などモビリティの購買動向に関する調査を実施し、「EY Global Mobility Consumer Index(MCI)」を発表した。充電インフラ不足への懸念から世界でEVの需要増加は頭打ちとなっている。
同調査では、日本や米国、英国を始め世界の28カ国、19000人が回答した。その結果によると、世界全体でEV購入予定者は前年の55%から58%に増加したものの、需要は2020年から2023年の4年間で30%から55%に大きく拡大した後、横ばいになったことが判明した。
その理由として、27%が充電インフラ不足を最大の懸念点として挙げた。25%がEVの航続距離の短さが不安であると回答し、18%がEVの充電時間の長さが問題であると答えるなど、購入をためらうような問題があることが示された。また、バッテリー交換費用の高さに懸念がある購入検討者が26%いることが初めて確認された。
EV購入の動機面では、2024年の燃料費価格の高騰を理由に挙げた人が37%と最大となった。一方、ここ最近、環境への配慮は優先順位が下落しており、同要因を挙げた回答者は、2021年の49%から2024年には34%に減少した。
自動車全体では、世界全体で購入意欲は44%から51%に向上している。ただ、米国では、前年の60%から50%に減少し、EV購入検討者は、48%から34%に大幅減となった。一方、ハイブリッド車の購入意欲は緩やかに向上している。
欧州市場では、今後2年間に自動車を購入する意欲のある人が増加している。なかでも英国では、2023年の45%から2024年は56%と急激に増加し、他の欧州諸国を上回った。ノルウェーでも、この1年間で34%から50%に増加。ただ、英国で長期的な自動車購入意向者が大幅に増加したとはいえ、それはEVの購入意欲にはつながっておらず、EV購入意向者は本年、2023年の54%から59%と微増にとどまった。
ブランド面では、近年、中国ブランドのEVが海外を中心に躍進している。欧州では、EV販売台数に占める中国車の割合が2019年の0.4%から2023年には8%に拡大した。
好みのEVブランドトップ3に少なくとも1つの中国ブランドを挙げたEV購入意向者の割合は、アジア太平洋地域が30%に上った。一方で、中南米(ブラジル、メキシコ、コロンビア)が16%、欧州が12%にとどまった。また、中国製EVを選択する最大の理由について、欧州ではコストパフォーマンスが良いと思われること(59%)や安価と魅力が両立していること(51%)を挙げているのに対して、アジア太平洋では、コストパフォーマンスをそれほど重要視していない。
今回の調査から、消費者の意識が世代により違っていることも判明した。ミレニアル世代の回答者もZ世代の回答者も、中国のEVブランドの購入を考える主な理由にコストパフォーマンスの良さを挙げた一方、信頼性では意見の相違があった。中国ブランドに対する信頼度を、購買するまでのプロセスを構成する要素と考える人は、Z世代が36%にとどまったのに対して、ミレニアル世代は41%であった。
技術面では、コネクテッド技術に高い関心を持っており、60%以上が同技術があれば利用すると思うと回答している。一方、他のサービスに関しては、保守点検で37%、性能アップグレードに至ってはわずか21%と関心が低かった。
また、コネクテッドカーに関しては、全体的に点検費用に対する不安がみられ、高額すぎると回答した人の割合が世界全体で49%に上った。EV所有者の回答で、これを主な問題点に挙げた人の割合を地域別で見ると、米国が47%、欧州が45%であったのに対して、中国では39%にとどまった。EV購入者も似たような傾向を示し、点検費用が高いと回答した人の割合は米国が50%に上る一方、中国は40%であった。
データの提供という点に関しては、世界全体で36%がデータを提供することに懸念があると回答した。興味深い点として世代間で違いがほとんどないことが挙げられる。この割合は、Z世代が33%、ベビーブーム世代が34%で、最も心配しているX世代とミレニアル世代がともに37%であった。
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