また、SDVの台数が増えていくことで自動車によるデータ通信量が大幅に高まっていくことも予想している。トヨタ自動車の試算によれば、2030年にはデータ通信量が現在の22倍になり、これらのデータを処理する計算能力として同150倍が求められるようになるという。モビリティAI基盤における、IOWNを活用した分散型計算基盤の構築はこのような状況を見通したことが背景にある。
光技術をベースとするIOWNは、モビリティAI基盤の普及拡大を目指す2030年には、従来比で200分の1の低遅延、同125倍の大容量/高品質、同100倍の低消費電力効率を実現することを目指している。島田氏は「走っているクルマからの刻々と変わる様々な情報をリアルタイムに収集し続けることが可能となる。また、圧倒的な電力効率により、データの収集と処理を低消費電力も実現できる。モビリティと情報通信が一体となって暮らしを豊かにするモビリティ基盤として機能し得る」と強調する。
トヨタ自動車がグローバルに自動車を供給しているのと同様に、NTTもグローバルにネットワークサービスを提供しデータセンターを展開している。IOWNはこれらに適用される方針であり、モビリティAI基盤のグローバルに拡大するための足掛かりになる。
島田氏はモビリティAI基盤について「ヒト、モビリティ、インフラからの膨大なデータを学習したモビリティAIは、LMM(Large Mobility Data Model)と呼ぶことができるだろう。LMMは言語のみならず、さまざまなマルチモーダルデータをそのまま入力分析し、モビリティにおける解決策を提供していく」と述べている。
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