3セクターの中でも2024年度上期全体で最も好調だったのがGEMセクターである。受注高は前年同期比42%増の3兆1154億円、売上高は同33%増の1兆7857億円、Adjusted EBITAは同92%増の1529億円、Adjusted EBITA率は同2.7ポイント増の8.6%となった。2024年度9月末時点の受注残は12兆円に上り、これらは送電網や鉄道などの公共インフラ分野のプロジェクトで数年かけて売上高に反映されていく見込みである。
通期業績見通しの上方修正の要因になったのもGEMセクターだ。DSSセクターとCIセクターが前回予想を据え置いているに対し、GEMセクターの通期業績見通しは売上高が前回予想比1300億円増の3兆6300億円、Adjusted EBITAが同1300億円増の3150億円としている。
今回の会見では、足元好調なGEMセクターをけん引する日立エナジーのCEOに2024年7月に就任したアンドレアス・シーレンベック(Andreas Schierenbeck)氏も登壇した。
シーレンベック氏はドイツのエネルギー大手であるユニパー(Uniper)のCEOや、ティッセンクルップ(Thyssenkrupp)のエレベーター事業CEOなどを歴任し、エネルギー技術やデジタル技術を事業に生かすためのさまざまな知見を有している。
同氏は2030年を目標とする日立エナジーの成長戦略として、2020〜2027年で累計で90億米ドルを計画している投資のうち、後半に当たる2024〜2027年の4年間で60億米ドルを費やす方針である。併せて、SAP S4/HANAに基づく基幹システムのグローバルの標準化を進める。これらによって、現時点で2021年比で3倍以上となる40億米ドルまで積みあがった受注残について、米州から欧州、アジアに至るまでグローバルに広がる製造拠点を活用し地産地消で適切に対応していく方針である。売上高の年平均成長率は2024年度以降も12〜14%を維持し、Adjusted EBITA率は2024年度見通しの10.5%から今後はさらなる高みを目指すことになる。
シーレンベック氏は「市場では送電網への投資が続いており、今後10〜20年はこの傾向が継続するだろう。日立エナジーは送配電事業のグローバルリーダーであり、2027年度までに60億米ドルの投資を行うなどしてこのポジションを維持していく」と述べている。
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